年末の株や投資信託のクロス取引で損益通算 年末クロスのメリットとやり方、注意点

本ページにはプロモーションが含まれております
著者:しょうこちゃん

f:id:showchan82:20201202134124j:plain

株式投資の損益に対する税金についてのお話です。株式投資における税金は1年単位で計算します。1月1日~12月31日までの期間です。

年末の損益クロスというのは株式投資における税金を損出し、益出しによって損益をコントロールして税金を安くするという行為です。もちろん脱法行為ではなく、合法です。

たとえば、今年1年で株の売買で30万円の利益を確定しているとしましょう。この場合、今年の税金はその20.315%の6万945円の税金が発生します。源泉徴収ありにしている方はすでにその分が引かれていますし、そうでない方は確定申告によって申告後納税する必要があります。

この税金を抑えるために、含み損となっている銘柄を一旦売却したうえで、後から買い戻すことで含み損を現実化することで今年の株の利益を相殺(損益通算)して税金を安くするという方法を「損出し」というわけです。

逆に、損失状態の時に含み益となっている株を一旦売却して買い戻すことを「益出し」といいます。株の損失は確定申告をすれば3年間に繰り越しが可能ですが、それが面倒な場合は年末にクロス取引で益出しをして手続きをしないということも可能です。

株式投資をしている方は年末ごろの恒例行事にしている方もいらっしゃいますね。そんな年末の損益クロス取引のやり方と注意点、優待銘柄などを上手にクロスする方法などを紹介します。

年末に確認したい株の利益に対する課税の先送り

冒頭でも紹介したように株式投資の場合、1年間の利益を含み益や含み損があればコントロールすることができます。

税金を納めるというのは国民の義務ですが、損出しや益出しというのは基本的に税金を納めないという方法ではなく、将来に先送りするというものです。

利益に対して20%(復興特別所得税込みで20.315%)という税金はいつかはかかります。ただ、その時期を損出しや益出しによって後にすることができるのです。

後で払うだけなら今払っても同じじゃない?というご意見もあるかと思います。ただ、運用によって一定のリターンが見込めるのであれば先送りするほうが有利です。

税金はなるだけ後払い(先送り)する方がお得

負担の先送りというと良いイメージは全くないかもしれませんが、資産運用の税金の話になると先送りの方がメリットが大きいです。

年利5%で運用するとしましょう。この時、利益分を毎年課税される方法と、課税されずに最後にまとめて課税される方法とで利益の違いをみていきます。

20年後のリターンは以下の通りです。

  • 毎年課税:+119.11%
  • 最後に課税:+132.26%

いずれも税引き後です。先送りすることで毎年の利益に対しても翌年リターンが生じることで複利効果がはたらくわけです。以上から、可能な限りの株の利益の税金は先送りするべきです。

ちなみに複利効果については「資産運用で知っておきたい複利の力と活用方法、注意点(複利効果)」の記事でより詳しく紹介しているので気になる方はこちらもぜひご一読ください。

※税率が一定だと仮定した場合です。株や投資信託の売買益に対する税率がアップするような場合はアップ前に売却する方が良い可能性が高いです。

年末の損益クロス取引の仕組み

仕組み自体は冒頭で紹介した通りです。

損出しをするなら含み損がある銘柄を売却して買い戻す。逆に益出しをするなら含み益のある銘柄を売却して買い戻します。

単純ですが、2つの注意点があります。

  1. 取引期限問題(ギリギリはアウト)
  2. 同日に損出しと買戻をするとしっかり損出し(益出し)ができない

この2つです。
また(2)に関してはそれを回避しようと思うと新たな別の問題が2つ出てきます。

2営業日の受け渡し日を計算に入れておく

株は取引日の2営業日後に実際に名義書き換えの手続きが行われます。現在はT+2といって売買日の2営業日後が受渡日となります。株の損益の発生は受渡日がベースで考えられますので、年内に受け渡しが完了する必要があります。

2022年の倍は2022年12月28日(木)が最終日となります。29日、30日も売買は可能ですが、その場合は2023年の扱いとなりますのでご注意くださいませ。

ちなみに、この年末の損益クロスについては権利落ちなどを考える必要は特段内為、もっと早くにやっても問題ありません。

益出し、損出しの売却と買い戻しを同日に行ってはいけない

株の売買による損益の計算方法は「平均単価」で行います。

現在A株を1000株、取得単価1000円で保有しています。現在の株価は800円で損出しをしようと思っています。

  1. 1000株を800円で売却
  2. (その後、同日中に)1000株800円で再購入

(1)(2)の順番で取引をしました。この取引を終えた後、A株の取得価格はいくらになっているでしょうか?(1)で全部売却してゼロになった後で1000株を800円で買い戻しをしているので800円!と言いたいところなのですが、この場合の平均価格は900円になります。

株の損益計算は売買した順番は関係なく、当日に買付した分を含めて平均単価を計算し、そこから売却したと考えます。

なので、先に購入分1000株@800円をすでに保有している1000株@1000円と合算します。結果、(1000×1000+800×1000)÷2000=900円というように買付分が先に計算されます。その上で、1000株を800円で売却したというように計算されます。

この結果、損出しできる金額が小さくなりますね。

順番どおりなら200円×1000株=20万円の損出しができたはずなのに、買い戻しの平均単価で計算されると100円×1000株=10万円分しか損出しができないことになります。そのため、きっちりと損出しをするのであれば、同日中に買い戻しをするのではなく、翌日以降に買い戻しをする必要があります。

  • A株を1000株を800円で売却
  • (翌日に)A株を1000株800円で購入

とすれば、1000株を800円で売却するときの平均取得価格は900円のままなので、100円×1000株分の損出しをすることができます。そして翌日に1000株を800円で買い戻しすることで平均取得価格800円として買い戻しができるわけです。

ただ、これでめでたしめでたしとはいきません。こうすることで以下のような問題が出てきます。

  1. 翌日になったら株価が動いてしまう
  2. 株主番号が変更され保有期間がリセットされる
翌日になったら株価が動いてしまう

同日中に売り買いをするのであれば売ってから買い戻しをするまでの間の株価変動はほぼゼロにできます。ですが、それが翌日になるとなると株価が大きく動いてしまうかもしれません。

売却した翌日に株価が大きく上昇してしまった……なんてことになると目も当てられませんね。

このリスクを回避するには、現物株を売却するときと同時に「信用取引で同数量の買い注文」を出すことで回避できます。現物株取引と信用取引は別々に管理されるので評価額が平均化されることはありません。

寄り付き(株取引が始まる時間)に買いと売りを同時にぶつければ同額で売却し、買い付けができますのでこのリスクを回避できます。

先ほどの例でA株(1000株)を平均取得価格の1000円で取得しているとしましょう。現在の株価は800円だとしましょう。以下の手順で行います。

  1. A株を1000株信用買い/1000株売却(保有株)
  2. 翌日に信用買い分(1000株)を現引き

こうすればきれいに損出し(益出し)だけをすることができます。ただ、この方法を利用するには信用取引口座が必要になります。

多少の変動くらいは気にしないよ!というならここは考えずに翌日に買い戻しでもOKです。

1日空けると株主番号が変更され保有期間がリセットされる恐れがある

注意したいのはこっちですね。最近の株主優待は〇年以上保有する株主に限る(あるいは長期保有の株主への株主優待の内容が良くなる)といった長期保有特典を設ける会社が増えています。

その際に、この損益クロス取引を行うことが不利に働くことがあります。

それは保有株を全売却すると株主番号がリセットされるということにあります。多くの企業では株主を株主番号で管理しています。

で、この番号の株主は××年××月から株主になっているという記録を付けることで株主としての在籍期間を計算しているわけです。

ところが、株式を全部売却すると株主番号がリセットされ、翌日買い戻しをしても新しい番号が附番されてしまい、保有期間がリセットされる可能性があるのです。

これは回避したいところです。今はそういった長期保有条件がない会社でも将来設定しないとは限りません。その時に本当は5年保有していたのに年末の損益クロス取引をしたせいで、保有期間が短く計上され、優待がもれなくなる……なんてことは悲劇です。

これを回避する手段として「1株だけ」株を持っておくという手があります。

SBI証券、マネックス証券、LINE証券などでは1株だけ株を売買できる「単元未満株取引」というトレード方法があります。これを利用して損出し(益出し)をしたい株を1株だけ買っておくのです。

こうしておけば1株だけ残しておけば株主番号がリセットされません。

  1. 1001株保有状態
  2. 1000株売却(1株保有状態)
  3. 翌日1000株買い戻し(1001株保有状態)

ということで途切れないわけですね。

ちなみに1株保有は同じ証券会社である必要はありません。証券保管振替機構(ほふり)によって同一人物の保有株は一元管理されています。

たとえば楽天証券で1000株保有して、マネックス証券で1株保有という場合でも記録としては合算されて1001株となりますので株主番号のリセットは行われません。

1株保有でオススメなのは「マネックス証券」か「SBI証券」ですね。LINE証券は対応銘柄が少ないのがややネックです。

なお、証券口座を開設するのであれば直接開設するよりはポイントサイトを経由する方がお得です。かなりの高額還元をやっているので、まだの方はぜひ。

>>マネックス証券
ポイントインカム経由で口座開設&1取引(100円でOK)をすれば12,100円相当のポイントがもらえる。

>>SBI証券
ハピタス経由で口座開設&5万円以上の入金で10000円相当のポイントがもらえる。

小ネタ、株の利益が出るときは、確定申告をしてふるさと納税に役立てる

基本的に先送りするべき。と書きましたが、いつかは売却して利益を現実化するタイミングが来ます。その時は、株の利益を確定申告して、ふるさと納税に役立てましょう。

利益分を申告することでその住民税相当額に応じ、ふるさと納税の最小自己負担(2000円)で寄付可能な上限額がUPします。

dp-invest.hateblo.jp

納税するときはその時でしっかり節税対策しちゃいましょう。