貸株サービスのメリットとデメリット、証券会社ごとの違いと長期優待株との併用方法

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著者:しょうこちゃん

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貸株サービスというものをご存知でしょうか?

証券会社に保有している株式をレンタルすることで貸株料という金利のような収入を受け取ることができるサービスです。株式は証券会社に貸し出され、証券会社はその借りた株を、信用取引の買い手などに貸すことで金利収入を得ています。

長期保有の投資家としては保有株をレンタルすることで配当金や株主優待とは別の第3のインカムゲインを得ることができるサービスです。

一昔前まではストックレンディングなどといって大口投資家向けに提供されいてたサービスですが、現在は以下のようなネット証券で個人投資家向けにも1単元から受け付けています。

  • SBI証券
  • 楽天証券
  • マネックス証券
  • 松井証券
  • auカブコム証券
  • GMOクリック証券

基本的には0.1%程度の貸株料となっていますが、現物株として保有しているだけでOKというのはハードルが低いです。

さらに、需給がひっ迫している銘柄であれば高い貸株料を受け取ることもできるのでメリットが大きいサービスです。その一方で貸株サービスを利用することでの注意点もいくつかあります。

  1. 借手(証券会社)の信用リスク
  2. 株主優待の長期優待がリセットされるリスク
  3. 株価下落リスク
  4. 貸株金利は雑所得

今回はそんな貸株サービスを利用した投資法を紹介していきます。

貸株サービスの特徴とメリット

私がネットで実施したアンケートによると「貸株サービス」を知っているかどうか?というアンケーではおよそ半数の人が知らないと回答しています。

一方で、ボーナス金利銘柄などに積極投資をしている方も少数ですがいらっしゃいます。

この貸株サービス、これを利用するメリットは金利を受け取れるというものですね。

貸株として保有している株式を証券会社に貸すことで貸株料がもらえます。

 

まずは証券各社のサービスを比較

  通常金利 最高金利 対象銘柄 代用有価証券 配当自動取得
SBI証券 0.1% 14% 多い × ×
楽天証券 0.1% 14% 多い
松井証券 0.2% 設定なし 少ない
マネックス証券 0.1% 10% 少ない
auカブコム証券 0.1% 10% まずまず × ×
GMOクリック証券 0.1% 10% まずまず × ×

各社のサービス内容は上記の通りです。

まあ各社横並びっぽい感じもしますが、松井証券とマネックス証券は対象銘柄がやや少なめということもあってやや使いづらいです。ネット証券ツートップのSBI証券、楽天証券は流石です。auカブコム証券、GMOクリック証券も抑えておいて悪くないです。

貸株による金利は基本的には0.1%程度~ボーナス銘柄は高い金利がもらえる

貸株サービスの金利は松井証券以外横並びです。
松井証券がよさそうにみえますが、そもそも対象となる銘柄がすくないので、全体としての金利はお勧めできません。

その他だと、ボーナス金利が注目です。
SBI証券、楽天証券、auカブコム証券、GMOクリック証券では、一部銘柄がボーナス金利銘柄として高い金利がついています。

代用有価証券の貸株

これは信用取引をしている人に関係する部分です。

信用取引の証拠金は代用有価証券として保有している株式を証拠金とすることができます。ここが×になっている証券会社は貸株をしている場合、その貸株は代用有価証券として認められません。

信用取引をしているなら〇の方がいいです。特に後述する貸株サービスを利用したクロス取引をするなら代用有価証券として認められるのは必須級に重要です。

配当自動取得

各社とも「株主優待の自動取得」はあります。これは株主優待がもらえる銘柄については優待のタイミングで貸株の名義を自分に戻すというものです。一方で、株主優待がない銘柄については返還されません。

配当自動取得がある証券会社は株主優待だけでなく配当金についても自動取得できるようになっています。

これがない場合、証券会社から配当金相当額を受け取ることができますが、実はこの配当金相当額も貸株金利と同様に扱われてしまうため、所得税の都合上、配当所得ではなく「雑所得」に該当してしまいます。

たとえば三菱商事を貸株にした場合、同社は優待銘柄としては登録されていないので貸株されたままになります。配当金の相当額は後ほど入金されますが、受け取れる金額は配当金から源泉徴収額を除いた額になります。

さらにこれで終わりではなく配当金相当額は雑所得扱いとなるので再度課税されることになり二重課税となります。

配当金を貸株金利(配当金相当額)として受け取るメリットはないので、配当自動取得機能のある証券会社で貸株をするのが最善です。

なお、株を貸株したことによって受け取ることができる貸株金利は雑所得として課税対象となり確定申告が必要となります。
※年収2000万円以下の給与所得者の方でその他の所得が年間20万円以下の場合は所得税の申告不要制度があります

 

貸株サービスのリスクとその回避方法

上記以外の問題点として貸株サービスには以下の3つのリスクがあります。

  • 証券会社の破たんリスク
  • 株主番号が変わるリスク
  • 株価が下落するリスク

証券会社の破たんリスク

証券会社が破綻しても私たちが預けている株式は「分別管理」といって証券会社の資産とは切り分けて管理されちえるので安心です。

ただし、貸株をしている株式については証券会社に貸与していることになり、分別管理の対象から外れます。貸株中に証券会社が破綻した場合、貸株中の株式は保護されない可能性があるという点が一つ目のリスクです。

ただ、貸株中の株式は当日すぐに戻すことができるので流動性リスクは小さいので、そこまで強く意識しなくても良いのではないかと思います。

ちなみに対象の証券会社各社の信用格付けをみていきましょう。

  • SBI証券:A-(R&I格付投資情報センター)
  • 楽天証券:A-(R&I格付投資情報センター)
  • マネックス証券:BBB(R&I格付投資情報センター)
  • 松井証券:BBB+(R&I格付投資情報センター)
  • auカブコム証券:A+(日本格付研究所)
  • GMOクリック証券:BBB(R&I格付投資情報センター)

※2021年1月26日時点で各社HP等で確認

一般的に格付けは「BBB」以上が投資適格とされております。こうしたリスクを考えるならauカブコム証券が最も高く、ついでSBI証券、楽天証券ということになりますね。

株主番号が変わるリスク(株主優待の長期優待がリセットされるリスク)

実際に起こりうるリスクというか注意点はこっちです。

最近の株主優待には「長期株主に対する優遇」がセットになったものが増えています。ただ、この長期保有の管理は「株主番号」と呼ばれる番号で管理するケースがほとんどです。

この株主番号は以下のような条件でリセットされることがあります。

  1. 保有株式をすべて売却した場合
  2. 保有株式をすべて貸株した場合

される「ことがある」としているのは取り扱いが異なるためで貸株したら必ずリセットされるというわけではありません。ただし、リセットされるリスクがあります。

このリスクがあるために貸株サービスの利用を躊躇している方も多いのではないでしょうか?それを回避するための手段の一つが「単元未満株の保有」です。

この株主番号が変わるリスクについては、現物株を1株保有することで回避できます。先日公開した年末にやるべき損益クロス取引と同じです。

dp-invest.hateblo.jp

要するに貸株をして現物保有がゼロになったとしても1株だけでも株式を保有していればその会社の株主として登録されたままなので株主番号が変わらないというお話です。

最近では、SBIネオモバイル証券やLINE証券などの証券会社であれば1株単位の売買をで実施できたりします。コスト面だけを考えるとSBIネオモバイル証券がおすすめです。

月間50万円までの取引なら220円(税込)ですし、株投資にもつかえる200P(期間固定Tポイント)が毎月もらえるので実質コストは20円で済みます。

50万円までではあるものの1株単位の売買が基本なので仮に1株1000円の単価としても500銘柄分の株を買えてしまう計算になります。貸株サービスと組み合わせた単元未満株投資としてはピッタリです。

また、マネックス証券やSBI証券も単元未満株投資について買付時の手数料を無料にしていますので、長期保有目的ならマネックス、SBIでもよい感じです。

 >>ネオモバ(SBIネオモバイル証券)の申込はこちらから

>>マネックス証券の申し込みはこちら

>>SBI証券の申し込みはこちら

なお、1株投資は、当ブログで紹介している「ネオモバ×楽天銀行の配当金受け取りプログラム活用」や「端株優待(隠れ優待)投資で小額投資でお得な株主優待をGET」などのお得な運用法とも組み合わせることができたりします。

株価が下落するリスクはクロス取引でも回避可能

貸株で高い金利が付く銘柄(ボーナス金利銘柄)というのは、なぜかというとそれだけ「売りたい」と考えている投資家が多いからです。売りたい=空売り用の株を借りたいという人が多いため人気を集めているのです。

つまり、貸株でボーナス金利が付く銘柄というのはどちらかという売られやすい銘柄が多いわけです。

ただ、このリスクを回避する方法もあります。クロス取引を使う方法です。

  • 現物株でボーナス銘柄を買い貸株サービスに出す
  • 信用取引で同銘柄を空売りに出す

信用取引の空売りのコストは諸費用を入れて年率換算1.5%くらい。一方でボーナス金利で5%がもらえるならその差の3.5%分の金利が収入となるわけです。

クロスにしているわけなので株価下落のリスクはほぼなくなります。リスクとしては同銘柄で逆日歩が発生した場合は収益を損なう可能性があるというものです。

ただ、逆日歩発生についても優待クロスのような極端な数字にはなりにくいです。権利確定日はクロスを解消するというのも手ですね。

最近は主要証券会社で一定額以下なら売買手数料無料としているところが多いので貸株金利目的のクロス取引もかなりやりやすくなっています。

  • 楽天証券:100万円まで無料(現物&信用合計)
  • SBI証券:100万円まで無料
  • GMOクリック証券:100万円まで無料
  • auカブコム証券:100万円まで無料(現物&信用合計)

これだけ枠があれば、売買時の手数料はかけずに信用金利だけでクロス取引ができそうですよね。

 

貸株サービスを上手く利用して第3のインカムゲインを作ろう

通常の貸株金利の0.1%。小さな利回りです。仮に100万円の株式保有だったとしても年間に1000円相当の収入にしかなりません。とはいえ、この1000円は貸株をしなければ貰うことができない収入です。

順調に資産形成を進めていき、資産が300万円になれば3000円、500万円なら5000円、1000万円に到達すれば毎年1万円がボーナスとしてもらえる計算になります。

さらに、銘柄によっては10%を超えるようなボーナス金利が付くこともあるわけで、利率が小さいからといって馬鹿にできるものではありません。リスクやデメリット部分を理解して回避できる部分は回避しながら上手に貸株サービスを活用していきましょう。

 

貸株サービスにおすすめ証券会社

私が重視したいと考える項目は「金利の高さ」と「配当自動取得」の二つの機能です。すると、貸株を利用する前提でお勧めの証券会社は「楽天証券」か「マネックス証券」になりますね。

それに加えて、1株投資用に(長期優待の維持用)にネオモバかSBI、マネックスの口座があるといいですね。

貸株サービスにお勧めの証券会社

>>SBI証券公式ホームページ

>>楽天証券公式ホームページ

>>マネックス証券公式ホームページ

>>auカブコム証券公式ホームページ

1株投資目的

 >>ネオモバ(SBIネオモバイル証券)公式ホームページ

米国株、米国ETFに投資をしている人であれば、同じ貸株サービスの仕組みを米国株でも利用できるSBI証券(KASTOCK)もいいかもしれません。