投資信託の保有でポイント還元やキャッシュバックがある証券会社の比較

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著者:しょうこちゃん

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最近ではネット証券を中心に投資信託の保有残高に応じて、一定のポイント還元や現金還元などを行っているところが増えています。

投資信託自体のリターンはどこで購入しても同じですが、こうしたポイント還元やキャッシュバックがあればそちらで運用する方がよりお得になります。投資信託を長期保有していくのであれば、そうした証券会社(や銀行)を活用していきましょう。

還元率自体は低く見えますし、クレカ積立のような直接的な還元と比べると見劣りする面もあるかもしれませんが、長期投資を前提とした場合、還元額自体で見ると入り口だけのクレカ積立のポイント還元よりもはるかに大きくなります。

今回はそんな投資信託の保有残高に応じたポイント還元、現金還元をやっている証券会社を比較していきます。

投信の保有でポイント還元・キャッシュバック制度がある証券会社

いわゆる大手ネット証券といわれている証券会社が中心ですね。各社ともに条件の違いがありますので、比較していきます。

  • SBI証券
  • 楽天証券
  • 松井証券
  • マネックス証券
  • auカブコム証券

とはいえ、各社とも一律に比較はできない感じになっています。見た目の還元は良くても実際の中身を見たら使えない(使いにくい)還元制度だったりすることもあります。

各社の投資信託保有ポイントの比較表

証券会社名 還元率 ポイント名 条件・備考
SBI証券
(投信マイレージ)
低コストファンド
0.017%~0.05%程度
TポイントまたはPontaポイント、SBIポイントを選択 ファンドにより還元率が変動するようになっています。現在はそこそこの還元率です。
そのほかのファンド
0.1%~0.25%
TポイントまたはPontaポイント、SBIポイントを選択 基本的に信託報酬(保有コスト)が高いファンドが対象。
1000万円未満:0.1%
1000万円以上:0.2%
楽天証券
(ハッピープログラム)
10P~500P 楽天ポイント 一定の残高に達成するごとにポイント付与。ポイント付与は一度きり
松井証券
(投信毎月現金還元サービス)
信託報酬の松井証券手取り分の内、0.3%を超えた部分を還元。
最大0.7%程度
現金キャッシュバック その仕組み上、信託報酬が高いファンドしか対象にならないことになる
マネックス証券
(投資信託保有ポイントプログラム)
0.03%(指定銘柄)
0.08%(通常)
マネックスポイント 一部のファンドがポイントの付与対象外
auカブコム証券
(資産形成プログラム)
0.05%(100万円未満)
0.12%(3000万円未満)
0.24%(3000万円以上)
Pontaポイント 低コストファンドは一律0.005%
三菱UFJ銀行
[詳細]
50万円以上の残高があれば毎月50P。最大で0.12%相当 Pontaポイント 固定ポイント付与

 数字(%)だけを見るのであれば、松井証券の最大0.7%還元が目を引きます。またauカブコム証券の0.24%やSBI証券の0.25%も高いですね。

ただ、見た目の数字にでみるとちょっと残念な感じです。備考のところにも書いていますが、還元率が高いものは大抵がコスト高の投資信託です。

それもそのはずで、証券会社が我々投資家に還元できるのは、私たちが投資信託に対して支払っている「信託報酬」と呼ばれるコストの中から支払っているわけですので、信託報酬の低い投資信託の場合、どうしても還元できる金額も小さくなるわけです。

もらえるわずかなポイントのために無駄にコストを支払うのは勿体ないので、やはり低コストのインデックスファンドなどを保有した上で、その中でも還元が大きな証券会社を選択するというのがベストだと思います。

そもそも信託報酬とは?

上記の表の中でも使っている「信託報酬」というのは投資信託を運用するためにかかる費用と考えてください。

投資信託を運用するにはファンドマネージャーが必要だったり、実際に株式等を売買するためのコストがかかったりします。また、投信を販売してくれた証券会社や銀行(販売会社)に対する報酬あどもかかるようになっています。

そうしたファンドの運用や維持にかかるコストをひっくるめて「信託報酬」といって投資家(ファンドの保有者)に負担してもらっています。

これは直接目には見えませんが、日割り計算して毎日少しずつ投資信託の残高からチューチュー吸われています。

もちろん、信託報酬は必要コストではありますが、投資は運用コストを減らすことがリターンを高めていく上で重要です。同じような運用のファンドなら信託報酬が低いファンドの方が投資家にとっては魅力的です。

逆に、販売する金融機関からすれば信託報酬が高いファンドを買ってくれる方が儲かるので信託報酬が高めのファンドをお勧めしてくれるようなケースもありますので注意したいですね

投資信託の保有にかかるポイントサービスというのはこの信託報酬の一部キャッシュバックというわけです。

引き合いに出させてもらいますが、以下は松井証券さんがプレスリリースで出していた投資信託の信託報酬の内訳です。

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上記では信託報酬1.1%のうち、0.7%が証券会社に入ると書かれていますね。そのうちの0.4%分をキャッシュバックしますよーというサービスなわけですね。

投信ポイント還元は運用利回りの改善効果あり

このポイント還元は信託報酬という定率で発生するコストを削減する効果があります。0.1%かかっていた信託報酬が0.06%になるというのであれば、運用利回りが0.04%改善するのと同じことです。

1回あたりの還元は小さくとも、運用額全体に影響することから複利的に作用します。

仮に500万円の元手があり年率5%で運用されるファンドに投資したとして信託報酬が0.1%と0.06%の差があった場合

  • 1年後:2000円
  • 5年後:12118円
  • 10年後:30814円
  • 15年後:58767円
  • 20年後:99624円
  • 25年後:158332円
  • 30年後:241570円

と差はどんどん広がっていきます。これは保有ポイントによる還元が複利的に作用するからですね。なお、複利効果については以下の記事で詳しく説明しています。

dp-invest.hateblo.jp

運用額が大きいほど、また運用期間が長くなるほど差は大きくなります。

ポイントのためにわざわざ信託報酬が高いファンドを買うのはナンセンス

とはいえ、もともと信託報酬が高いファンドを購入してポイント還元を受けるというのは無意味です。

仮に0.4%キャッシュバックされたとしても信託報酬の手数料率が1.1%あると支払いは1.1-0.4=0.7%となります。

それなら、そもそも信託報酬が0.2%みたいなファンドを買う方がよいという話になります。信託報酬が高いファンドほど投資リターンが高いというデータはありません。

むしろ、信託報酬が一般的に高いアクティブファンド(積極的に運用するファンド)のほうが、信託報酬の安いインデックスファンド(株価指数に連動するように機械的に運用するファンド)よりもコストが高いこともあり、リターンが低いとさえ言われています。

アクティブファンドは絶対ダメとは言いませんが、個人的には低コストのインデックスファンドで運用する方が10年後20年後のリターンは高いと思います。

投資をするファンドの種類によって証券会社を使い分けよう

他意はありませんが、松井証券さんのプレスリリースで明示されているように、高コストの投資信託に対する還元は確かに松井証券やauカブコム証券が高く見えます。

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ところが、これを個人投資家に人気の高いファンドで見てみるとどうでしょうか。投資に対する感度の高い、個人投資家(投信ブロガー)が選ぶ投資信託のランキングであるファンドオブザイヤー2020の結果からみていきましょう。

ベスト10位(3位のVTは米国ETFだったため除外)とそれぞれの信託報酬を見ていきましょう。

ファンド名 信託報酬
eMAXIS Slim 全世界株式 0.1144% 以内
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド 0.1023% 以内
セゾンバンガードグローバルバランスファンド 0.57%
ひふみ投信
(ひふみプラス)
1.078% 以内
eMAXIS Slimバランス 0.154% 以内
eMAXIS Slim先進国株式インデックス 0.1023% 以内
eMAXIS Slim全世界株式(のぞく日本) 0.1144% 以内
eMAXIS Slim米国株式 0.0968% 以内
農林中金<パートナーズ>長期厳選投資おおぶね 0.99%

となっており、ほとんどのファンドは、低コストファンドは対象外としている証券会社ではポイント付与の対象外となります。上記ファンドで松井証券でのポイント還元の対象なのは「ひふみプラス」と「おおぶね」くらいです。

ただ、このファンドも松井証券の場合「ひふみプラス」で0.055%、「おおぶね」で0.05%の還元となります。この水準はSBI証券などの付与率とそう大差ありません。

ちなみに、松井証券で一番還元が大きいファンドはどれかな~と調べたら「GS 日本小型株ファンド」が高いみたいです。こちらは0.7%還元!ただ本ファンドの信託報酬は驚きの2.18%です。

手数料高めのアクティブファンド保有にお勧めの証券会社

ゴリゴリ手数料がかかるアクティブファンドでポートフォリオを組むならお勧めになるのは以下の証券会社です。

  • 松井証券
  • auカブコム証券

高いコストを支払う分、還元してもらいましょう。なお、auカブコム証券はそこそこまとまった資金(100万円以上)で投信を買う前提になります。

松井証券の口座開設はこちら

auカブコム証券の口座開設はこちら

とはいえ、これらは結局高い手数料を払っている前提となります。ポイント還元のためだけに高い手数料のファンドを購入するというのは本末転倒。もちろん、何らかの理由でやや信託報酬が高い投資信託を買いたいというのなら話は別です。ぜひこれらの証券会社を活用するべきだと思います。

低コストファンドで 運用するなら三菱UFJ銀行、SBI証券かマネックス証券がおすすめ

続いて、前述のファンドオブザイヤーで取り上げられているようなeMAXIS Slimなどの低コストインデックスファンドで運用するのであれば「対象外ファンドあり」としているところは適しません。

特に、松井証券はeMAXIS Slimシリーズをはじめとした低コストインデックスファンドはすべて還元対象外としています。

これらのファンドへの投資ができて、ポイント還元が大きい証券会社は、SBI証券かマネックス証券がおすすめです。また、50万円以下という前提が付きますが、三菱UFJ銀行も強いです。

三菱UFJ銀行(50万円以下の保有なら還元No1)

証券会社ではありませんが、50万円以上の残高があれば毎月50Pがもらえる三菱UFJ銀行は実はかなり還元が大きいです。年間だと600Pで50万円の残高に対する還元率は最大0.12%となり、他の証券会社の還元水準と比べて非常に高いです。
低コストのファンドであっても対象です。

なお、50万円ピッタリの運用はできないでしょうから、残高を55万とかといったように若干余裕を持った投資をしておく方が安全です。実質的な還元率はやや低下します。

三菱UFJ銀行は投信の保有以外にも投資信託の積立やログイン等でもポイント還元がありますので、実は結構ポイ活投資の面から見ても使える銀行です。

三菱UFJ銀行周りのポイント関係については「三菱UFJ銀行でPontaポイントが貯まる銀行ポイ活」の記事でもより詳しく紹介しています。

口座開設のポイントサイト案件などはありません。

>>三菱UFJ銀行公式ホームページ

SBI証券は全体的な還元高い

SBI証券は「Tポイント」または「Pontaポイント」あるいは「Vポイント」などのポイントが貯まります。貯めるポイントは自由に選べるようです。

例えば楽天ポイントは1P=1円の固定利用しかできませんが、Tポイントはウエルシアでの50%増量、PontaポイントはauPAYマーケット限定ポイント交換で最大50%増量があります。

2021年4月から投信マイレージが改善されて、ファンドによって還元率が異なるようになっています。0.0242%~0.5%程度。一応0.1%~0.12%が貯まるファンドもありますが、こちらは信託報酬(保有コスト)が高いファンドなのでとりあえず無視しておいてよいです。

主要なインデックスファンドは以下のようなポイント還元となっています。

  • eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本):0.0415%
  • eMAXIS Slim 先進国株式インデックス:0.0349%
  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):0.0326%

この辺りの人気ファンドのポイント還元率はSBI証券が最高水準です。

また、クレカを使った投信購入が始まっています。これも強く、三井住友カードでの積み立てで0.5%~のポイントも貯まります。投資信託の積立&保有はSBI証券が現状最適解なのかなぁと思います。

>>SBI証券の口座開設はこちら 

マネックス証券は一律0.3%還元

マネックス証券の投資信託保有ポイントプログラムはかつては対象外ファンドが多すぎて使い物にならない感じでしたが改善してほとんどのファンドが対象になりました。eMAXIS Slimシリーズなども指定銘柄B(0.03%)の還元となっています。

なお、還元されるポイントは「マネックスポイント」となります。同ポイントはdポイント、Pontaポイント、Tポイント、永久不滅ポイントなどと交換できるという汎用性の高さは魅力です。

ポイント交換での増量なども考えるならマネックス証券もおすすめです。SBI証券と同じファンドの還元率は以下の通りです。

  • eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本):0.03%
  • eMAXIS Slim 先進国株式インデックス:0.03%
  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):0.03%

となります。2022年1月からはマネックス証券でもクレカでのクレカ積立が始まる予定でこちらもメリット大です。

マネックス証券の口座開設はこちら

投信保有ポイントは運用額が大きいなら気にしよう。小さいときはそこまで気にしなくてもOK

上記の三菱UFJ銀行、SBI証券、マネックス証券の比較は、正直運用金額が小さいときはさほど気にする必要はありません。

運用初期なら後述するような入り口(投資時点)でのクレカでの積立などのポイント還元率の方が影響が大きいです。一方で運用金額が大きくなる場合はこうした保有ポイントもバカになりません。

人気ファンドでもらえる投資信託保有ポイントを比較

じゃあ、実際に個人投資家から人気の高い投信を保有したとき、実際にどの程度のポイントが貰えるのかを具体的に比較したいと思います。

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を1年間保有した場合に得られるポイント数

  SBI証券 松井証券 マネックス証券 auカブコム証券 三菱UFJ銀行
10万円 ¥32 ¥0 ¥30 ¥0 ¥0
50万円 ¥163 ¥0 ¥150 ¥2 ¥600
100万円 ¥326 ¥0 ¥300 ¥5 ¥600
500万円 ¥1,630 ¥0 ¥1,500 ¥25 ¥600
1000万円 ¥3,260 ¥0 ¥3,000 ¥50 ¥600
1億円 ¥32,600 ¥0 ¥30,000 ¥500 ¥600

保有金額が大きくなると保有ポイントもバカにできませんね。保有金額100万円以下なら実は三菱UFJ銀が最高効率だったりする点も見逃せなかったりします。

保有ポイントを考えると、50万円分は三菱UFJ銀行に預けておき、それ以上の部分はSBI証券に入れておくというのが最高効率になりそうです。

三菱UFJ銀行の保有ポイントは50万円を切ると還元がなくなるので、相場変動で下がっても対象になるようにリスク商品で運用するなら55万~60万くらい入れておくと安心できそう。

投資信託の保有ポイント還元、運用初期はあまり重視しなくてもよいですが運用額が大きくなるとバカにできなくなるのでちゃんと効率的な銀行を選びましょう。

投信を買うならクレカ積立(クレジットカード積立投信)も忘れずに使おう

この記事で紹介してきた投資信託の保有に先立ち、投資信託を「買う時」は直接購入するのではなく、クレジットカードを使った積立投資も活用しましょう。

最近では楽天証券、SBI証券、auカブコム証券、マネックス証券と多くのネット証券が対応しており、クレジットカードを使った積立投資をすることでポイント還元を受けられます。

特に、投資を始めた初期(運用総額が少ない時期)は保有ポイントの差は誤差のようなもので、投資時のポイント還元の方が影響が大きいです。

運用額が小さいうちはクレカ投信積立などでもらえるポイントを増やしつつ、運用総額が大きくなってきたら投信の保有でもらえるポイントの方を重視していくようなスタイルが良いと思います。

dp-invest.hateblo.jp