
ネット証券を中心に、投資信託の保有残高に応じて毎月ポイントがもらえる「投信残高ポイント(保有ポイント)」のサービスが普及しています。
投資信託自体の運用リターンは、どの証券会社で購入しても同じです。しかし、この「保有ポイント」がある金融機関を選べば、実質的な運用コストを引き下げることができ、長期投資において数万円から数十万円単位の差がつくことも珍しくありません。
かつては「低コストのインデックスファンドはポイント還元の対象外」とする証券会社も多かったのですが、直近のアップデートにより各社の還元ルールは大きく変わりました。
本記事では、2026年最新の主要ネット証券および銀行のポイント還元ルールを徹底比較し、どこで運用するのが最もお得なのかをシミュレーションも交えて中立的な視点で解説します。
- 投資信託の「保有ポイント」は実質的な利回り改善になる
- 【2026年】主要ネット証券・銀行の投信保有ポイント比較
- 【シミュレーション】実際にどれくらい差がつくのか?
- 各金融機関のプログラムの特徴と攻略法
- 「クレカ積立ポイント」との違いと併用戦略
- ポイントのために高コストファンドを買うと絶対に損をする
- まとめ:おすすめの運用先はどこ?
投資信託の「保有ポイント」は実質的な利回り改善になる

各社の比較を見る前に、なぜ保有ポイントが重要なのかを簡単におさらいしておきましょう。
投資信託を保有している間、我々投資家は「信託報酬」という運用管理費用を毎日少しずつ支払っています。例えば、信託報酬が年率0.1%のファンドであれば、運用資金から年間で0.1%分がコストとして差し引かれます。
投信の保有ポイントサービスは、金融機関が受け取る信託報酬の一部を投資家に還元してくれる仕組みです。もし信託報酬0.1%のファンドで年率0.03%のポイント還元を受けられれば、実質的なコストは0.07%に下がります。運用利回りが0.03%改善するのと同じ効果があるわけです。
「たった0.03%」と思うかもしれませんが、運用額が大きくなり、期間が10年、20年と長くなるにつれて、この差は複利効果によって大きなリターンの差となって表れます。
【2026年】主要ネット証券・銀行の投信保有ポイント比較
現在、主要なネット証券と、還元が特徴的な三菱UFJ銀行の保有ポイントプログラムは以下のようになっています。対象ファンドの縛り、還元率の幅、そしてNISAやiDeCo口座が対象になるかどうかも含めて比較します。
| 金融機関 | 還元率 (最低〜最高%) |
NISA | iDeCo | 付与ポイント | 対象ファンド・条件の注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| SBI証券 | 0.0175%〜0.25% | ○ | × | Vポイント/Ponta等 (5種から選択) |
ほぼ全銘柄が対象 ※銘柄ごとに細かく還元率が設定 |
| 松井証券 | 0.0175%〜1.0% | ○ | ○ | 松井証券ポイント | 全銘柄が対象 ※毎月手動でのエントリーが必須 |
| マネックス証券 | 0%〜0.26% | ○ | × | マネックスポイント dポイント |
ほぼ全銘柄が対象 ※dポイントでの受け取りも可能 |
| 楽天証券 | 0%〜0.053% | ○ | × | 楽天ポイント | 自社ファンドのみ対象 ※「楽天・プラス」以外は付与なし |
| 三菱UFJ銀行 | 0%〜最大0.12%相当 | ○ | × | Pontaポイント等 | 残高50万以上で固定50P/月 ※50万円未満は還元なし |
| 三菱UFJ eスマート証券 |
0.005%〜0.24% | ○ | × | Pontaポイント | インデックス銘柄は一律0.005% |
【シミュレーション】実際にどれくらい差がつくのか?
還元率のパーセンテージだけでは実感が湧きにくいため、個人投資家に絶大な人気を誇る「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を保有し続けた場合、年間でどのくらいポイントがもらえるのかをシミュレーションしました。運用額が大きくなるにつれて差が顕著になります。
| 保有額 | SBI証券 (0.028%) |
松井証券 (0.028%) |
マネックス (0.0254%) |
楽天証券 (0%) |
三菱UFJ銀行 (固定50P/月) |
三菱UFJ eスマート (0.005%) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 10万円 | 28円相当 | 28円相当 | 25円相当 | 0円 | 0円 | 5円相当 |
| 50万円 | 140円相当 | 140円相当 | 127円相当 | 0円 | 600円相当 | 25円相当 |
| 100万円 | 280円相当 | 280円相当 | 254円相当 | 0円 | 600円相当 | 50円相当 |
| 500万円 | 1,400円相当 | 1,400円相当 | 1,270円相当 | 0円 | 600円相当 | 250円相当 |
| 1,000万円 | 2,800円相当 | 2,800円相当 | 2,540円相当 | 0円 | 600円相当 | 500円相当 |
| 3,000万円 | 8,400円相当 | 8,400円相当 | 7,620円相当 | 0円 | 600円相当 | 1,500円相当 |
| 5,000万円 | 14,000円相当 | 14,000円相当 | 12,700円相当 | 0円 | 600円相当 | 2,500円相当 |
| 1億円 | 28,000円相当 | 28,000円相当 | 25,400円相当 | 0円 | 600円相当 | 5,000円相当 |
保有額が少ないうちは「おまけ」と言えるレベルですが、残高が1,000万円、3,000万円と積み上がってくると、「何もしなくても毎年数千円〜数万円分のポイントがもらえるか、ほぼゼロか」という無視できない水準になります。
また注目すべきは、残高50万円付近では三菱UFJ銀行の還元率が圧倒的に高くなるという点です。
各金融機関のプログラムの特徴と攻略法
数字だけでは見えてこない各社のルールの「クセ」や、知っておくべき注意点を深掘りします。
SBI証券(投信マイレージ)
保有残高に応じて、Vポイント、Pontaポイント、dポイント、PayPayポイント、JALマイルの5種類から好きなものを選んで貯めることができます。低コストファンドの還元率も業界最高水準です。自動で付与されるため、手間がかからないのも大きなメリットです。
松井証券(最大1%貯まる投信残高ポイントサービス)
かつては低コストファンドが対象外でしたが、サービスが刷新され、eMAXIS Slimシリーズを含む全銘柄が還元対象となりました。還元率もSBI証券と並びトップクラス。さらに、業界で唯一「iDeCo口座での保有分もポイント付与の対象」となっている点は見逃せない優位性です。唯一の注意点は、自動付与ではなく「毎月Webサイトからの手動エントリーが必須」であることです。
マネックス証券(投信保有ポイント)
SBI証券や松井証券にはわずかに及びませんが、低コストファンドでもしっかりとポイントが還元されます。貯まるマネックスポイントはdポイント等へ交換可能なため、dポイントをメインに貯めている方や、マネックスカード(クレカ積立)を利用する方に向いています。
楽天証券(投信残高ポイントプログラム)
2023年秋のルール変更により、毎月の残高ポイントがもらえるのは、楽天証券が自社で運用する「楽天・プラス」シリーズの投資信託に限定されました。大人気の「eMAXIS Slim」シリーズなどを保有していても、毎月のポイント付与はゼロです。楽天ポイントを貯めたい場合は、投資する銘柄を楽天・プラスシリーズへ切り替える必要があります。楽天経済圏に集中させたい方であれば選択肢となります。
【番外編】三菱UFJ銀行(メインバンクプラス)
証券会社ではありませんが、三菱UFJ銀行で投資信託を保有すると、残高50万円以上で「毎月固定で50P(年間600P)」がもらえます。仮に50万円ピッタリ保有した場合、還元率は驚異の0.12%となり、証券会社を圧倒します。ただし、残高が相場変動で50万円を割ると付与されないため、55万円程度を入れて放置するなどの工夫が必要です。
三菱UFJ eスマート証券(資産形成プログラム)
三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券)は、通常のファンドであれば保有残高に応じて0.05%〜0.24%と高い還元を受けられますが、個人投資家に人気の低コストインデックスファンドは「一律0.005%」という低い還元率に固定されているため、インデックス投資メインの方には不向きです。
「クレカ積立ポイント」との違いと併用戦略
投資信託でポイントをもらう方法には、今回の「保有ポイント」のほかに、クレジットカードで投資信託を買う際にもらえる「クレカ積立ポイント」があります。これらは全く別のものであり、完全に併用することが可能です。
| 比較軸 | クレカ積立ポイント | 投信保有ポイント |
|---|---|---|
| 発生タイミング | 買付時のみ(1回限り) | 保有し続ける限り毎月 |
| 還元率の傾向 | 0.5%〜2.0%等(高い) | 0.017%〜1.0%等(低め) |
| 運用額の影響 | 積立額に依存(月額上限あり) | 残高が増えるほど大きくなる |
| 適した局面 | 積立初期・運用額が小さい時期 | 運用総額が大きくなった時期 |
運用を始めたばかりで残高が少ないうちは「クレカ積立」の還元率を重視し、長期間運用して残高が数百万円単位に積み上がってきたら「保有ポイント」の還元率の高さが威力を発揮します。この両方を高い水準で備えている証券会社を選ぶことが、生涯の投資リターンを最大化するコツです。
クレカ積立については「」の記事で各社のサービス内容や還元額などを解説していますのでご一読ください。
ポイントのために高コストファンドを買うと絶対に損をする
各社のルールを見ると、「信託報酬(コスト)が高いアクティブファンド」ほど、還元されるポイント率が高く設定されていることがわかります。証券会社によっては、最大0.25%〜1.0%といった高還元が用意されています。
しかし、ポイントがたくさん欲しいからといって、わざわざ信託報酬の高いファンドを選ぶのは本末転倒です。
- 信託報酬0.09%のファンドを買い、0.028%の還元を受ける = 実質負担 約0.06%
- 信託報酬2.0%のファンドを買い、0.70%の還元を受ける = 実質負担 1.30%
このように、いくらポイント還元が高くても、元のコストが高ければ投資家が負担する「実質コスト」は跳ね上がってしまいます。信託報酬が高いファンドほど運用成績が良いという確たるデータはありません。基本的には「eMAXIS Slim」シリーズのような超低コストのインデックスファンドを選び、その上で保有ポイントの還元ルールが良い金融機関を選ぶのが投資の最適解となります。
まとめ:おすすめの運用先はどこ?
2026年現在のポイントプログラムの状況と、クレカ積立の併用効果を踏まえると、投資信託を長期保有する口座選びの結論は以下のようになります。
- 🏆 手間なし&選択肢の豊富さ:SBI証券
松井証券と同水準の最高還元率を誇り、毎月の手動エントリーが不要な点が非常に優秀です。Vポイントやdポイントなどをメインで貯めている方や、三井住友カードでクレカ積立を行いたい方に最適です。 - 🏆 総合力&最大効率:松井証券
対象銘柄の縛りがなく、低コストファンドの還元率も業界トップクラス。業界で唯一iDeCo口座の残高も対象になります。毎月の手動エントリーの手間さえ許容できれば、全体的な保有ポイントの条件としては最もおすすめです。 - 🏆 少額運用(50万円付近):三菱UFJ銀行
運用額が50万円〜100万円程度であれば、固定で毎月50Pもらえる三菱UFJ銀行が最高還元となります。50万円分だけ銀行で運用し、超過分をネット証券で運用する二刀流も有効な戦略です。
投資信託の保有ポイントは、運用額が小さい初期のうちは微々たるものですが、残高が数百万円、数千万円と育っていくにつれて、何もしなくても毎月ポイントが入ってくる「強力な資産」に変わります。
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