残念なニュースが届きました。LINE証券がサービスを終了します。正確には事業再編としてLINEと合同で証券事業を実施してきた野村證券に移管(吸収)されます。そのままでも大丈夫という印象があるかもしれませんが、LINE証券で株式投資をしている人は、最終的な野村への移管前にLINE証券内の資産を整理しておく必要があります。
同じように小額投資サービスをウリにしてきたSBIネオモバイル証券もサービス終了しますが、それよりも既存ユーザーにとっての影響が大きいです。
- LINE証券で複数銘柄に広く浅く投資をしてきた人
特にこのタイプの人は移管前に必ず整理を行いましょう。今回はLINE証券をそこそこ利用してきた人向けのサービス終了に向けた整理・清算のやり方について紹介します。
- LINE証券のサービス終了の内容
- LINE証券ユーザーと野村證券はまったくもって相性が悪い
- LINE証券である内に逃げるのが最善
- 野村證券に口座を作らないなら口座の解約・閉鎖も
- LINEポイントの現金化手段はどうする?
LINE証券のサービス終了の内容
- 株取引(単元未満株)→野村證券に移管 or 他社移管
- 株取引(単元株)→野村證券に移管 or 他社移管
- 投資信託→
- 信用取引→2024年2月頃にサービス終了
- つみたてNISA→野村證券に移管。他社移管時は課税口座への振替が必要
- iDeCo→野村證券に移管
- CFD→2024年3月末までにサービス終了
- FX→そのまま継続
サービスごとの終了内容は上記の通りです。
LINE証券ユーザーと野村證券はまったくもって相性が悪い
今回のサービス終了でLINE証券ユーザーは放置をしていると野村證券に移管されます。これはユーザー属性を考えると全くマッチしていないと思います。
LINE証券ユーザーは主に小額投資を中心とした運用が中心なのに対して、野村證券は基本的には小額投資ユーザーの方は見ていません。後述しますが「最低手数料」がバカ高くそのまま移管されると人によっては八方塞がりとなります。
合同会社という仕組み上仕方ないのかもしれませんが、同じZホールディングスのPayPay証券あたりに動かせなかったのか……とは思います。
野村證券は手数料が高く、LINE証券で買った株がゴミ株になる可能性
基本的には放置していると資産は野村證券に移管されるということになりますが、野村證券って手数料がバカ高いです。たとえば、LINE証券のウリの一つは1株単位の売買ができる単元未満株取引です。
実は野村證券でも「まめ株」といって単元未満株取引ができます。
- 手数料は1.1%(税込)
- 最低手数料は550円(税込)
となっています。
は?という水準ですよね。少なくとも1株~数株で取り引きするような手数料体系ではありません。LINE証券は小額投資をウリにしてきたわけですが、それが野村証券に移管されてしまうと、ほとんどが手数料で徴収されて手元には残りません。
冒頭で「LINE証券で複数銘柄に広く浅く投資をしてきた人」は注意と書きました。少し極端な例ですが、最低手数料が550円なので株価550円の株を100種類保有している場合、LINE証券では55,000円分の資産があることになりますが、野村證券に移管された瞬間に資産価値がゼロになります。
ゼロは極端でも1株~数株単位の株式をLINE証券で沢山持っているという人は保有株の資産価値が大幅に毀損することは避けられません。
通常の単元株(100株単位)の手数料については
- 50万円:524円(275円)
- 100万円:1048円(535円)
- 150万円:2095円(640円)
となっています。ちなみに()はSBI証券で売買をしたときの手数料です。
なお、SBI証券や楽天証券では1日定額制手数料の場合、1日の売買高が100万円以下の場合の手数料は無料なので小額投資であれば手数料無料で株取引をすることも可能です。
野村證券移管後に他社移管は手数料が1100円必要、投資信託移管は3300円
それでは野村證券から手数料が安いSBI証券やマネックス証券に移管しようと考えるかもしれませんが移管手数料というものがかかります。最低手数料が1,100円~なので移管という出口もダメです。
つまり、LINE証券で数株単位で小額投資をしている人は野村證券に移管させてはダメで、野村證券に移管される前にLINE証券の資産を整理しておく必要があります。
なお、投資信託に至っては移管に3300円(税込)の手数料が必要になります。
※単元未満株取引(まめ株)の移管に関する情報が見つかりませんでした。こちら質問しているので回答が戻り次第追記します。
まあ、受け入れ側でキャッシュバックなどをやっているところに動かせばいいという判断もないわけではないですが……。
LINE証券である内に逃げるのが最善
というわけで、LINE証券ユーザーの皆様は、LINE証券としてサービスを提供しているうちに逃げましょう。野村證券への移管手続きに入ると一時的に売却もできなくなります。
単元未満株、単元株は売却するか、他社へ株式移管する
2023年8月ごろからLINE証券の売却時の手数料(スプレッド)が無料化される見込みですので、株を保有している人はそのタイミングで売却をするのも一つです。また、同じくらいのタイミングで他の証券会社への株式の移管手数料も無料化される見通しです。
単元未満株取引が可能で手数料が安い証券会社としては「SBI証券」と「マネックス証券」があります。保有株を売却したくないという人はSBI証券かマネックス証券のどちらかの証券口座を開設しておきましょう。
>>SBI証券
ポイントサイトの「ハピタス」経由で新規口座開設&5万円以上の入金で9000円相当のポイントがもらえます。
>>マネックス証券
ポイントサイトの「ちょびリッチ」経由で新規口座開設&1取引(100円でOK)をすれば7500円相当のポイント還元です。
つみたてNISAの運用残高は野村へ……新NISAのための切り替え手続きを忘れずに
これちょっと辛いのはつみたてNISAですね。つみたてNISAに預けている資産については野村證券に移管という方法以外だと課税口座に戻すしかないため非課税運用を続けるには野村證券での運用を続ける必要があります。
2024年の新NISAはそのままだと野村証券で開設されてしまいますので、切り替えが可能になる2023年10月~12月までに新NISAを運用したい証券口座を開設・切り替えをしておく必要があります。
こういうサービス終了がある可能性を考えるとNISAやiDeCoとかはサービスの継続性がある程度担保されていそうなネット証券大手の方がよさそうですね……。
※NISA口座は切り替えをしても旧来分の資産は引き続きLINE証券から移管された野村證券で運用されることになります。
iDeCoは野村證券に一旦移管、その後で変更は可能
iDeCoも野村證券に移ります。
野村證券のiDeCoは運営管理機関手数料が無料です。ただ、取り扱っているファンドはいずれも手数料(信託報酬)がやや高めのファンドが多いです。気になる方は移管しましょう。
野村證券に口座を作らないなら口座の解約・閉鎖も
LINE証券に口座残高等があると野村證券に口座が作られて資産が移管されることになりますので、野村證券に口座を作りたくないならその前にLINE証券内の資産を売却、出金をしてから口座閉鎖の手続きをしておきましょう。
なお、その際は電子交付書類などがダウンロードできなくなりますので必要な書類などは予めダウンロードしておくのをお忘れなく。
LINEポイントの現金化手段はどうする?
LINE証券はLINEポイントの現金化手段としても非常に優秀でした。LINE証券にポイントチャージすれば現金扱いになるのでそれを出金するだけという
今後はLINEポイントを現金化する場合はPayPay資産運用を利用する形になりますね。
LINEポイント→PayPayポイント→PayPay資産運用→売却→現金化
といった具合です。サービス終了は残念ですが、終わってしまうものはしょうがないので、次の活用法を探していきましょう。