iDeCoをこれから始める方が知っておきたい基本と仕組み。お勧めする理由

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著者:しょうこちゃん

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iDeCo(個人型確定拠出年金)は老後資金を効率よく運用するためにはベストな手段の筆頭として挙げられています。

  • 運用益が非課税
  • 拠出時には拠出額が所得控除

という二つの大きなメリットがあります。運用益が非課税であるという点は「NISA/つみたてNISA」も同様ですが、拠出時の金額が全額所得控除されるという点が勤労世代の資産形成に大変有利な仕様となっています。

あくまでも「老後」向けの運用手段ではあるものの、それを了承したうえで始めるのであれば、iDeCoはあらゆる運用手段の中でベストな選択になると考えられます。

掛け金が全額所得控除されるというのは結構大きい

仮に所得税、住民税の税率が合わせて15%だとしましょう。年間に276,000円の掛け金をiDeCoに拠出したとします。この場合、iDeCoを利用しなかった場合と比べて41,400円分の所得税・住民税が安くなります。

普通に運用する場合、私たちは「税引後」のお金で運用をしなければなりません。iDeCoではなく別の手段なら276,000円ではなくそこから税を引いた、234,600円からスタートしなければならないわけです。

その違いが、実際にどのくらいの差になるのかを見てみましょう。仮に、20年間、年利5%で毎月積み立て運用したとして計算してみます。

  • 23,000円拠出→9,453,774円(iDeCoの場合)
  • 19,550円拠出→8,035,708円(通常の運用の場合)

となります。かなり大きな違いになりますよね。これは運用益を考えていないので、iDeCoと、同じ運用益の非課税運用である「つみたてNISA」を比較したようなものになりますね。

つみたてNISA自体も非課税運用でメリットのある資産運用手段ですが、iDeCoは所得控除も相まってさらにすごい運用パワーになります。

iDeCoは「所得控除」であるため、所得を減らせる≒保育料や児童手当などで有利に

iDeCo(イデコ)は掛け金が「所得控除」されます。この所得控除というのはちょっと乱暴に書くと税金の計算において「収入をなかったことにしてくれる」ということになっています。

その結果として前述のように税金が安くなるわけですが、それ以外にもメリットがあります。

①保育料が安くなる
保育園の料金というのは所得(住民税の所得割額)を元に決まります。所得が多い人は保育料も高くなります。これって目に見えない税金みたいなものですよね。この所得割額はiDeCoの掛け金によって小さくなります。つまり、所得税という取られる税金が安くなるだけでなく、支払う保育料も安くなる可能性があるわけです。

②児童手当の所得制限を回避できる(かも)
同じく所得割額で計算されるのが、「児童手当」です。児童手当の金額は年齢に応じて一律ですが、一定の所得額を超えると手当額が制限されたり、2022年度からはもらえなくなるケースもあります。そんな時にiDeCoを利用すれば、所得を減らす効果で制限を回避できるケースもあります(ボーダーに近い場合)。

ちなみに、iDeCoに限らず、所得控除の効く税控除は有効です。

・医療費控除
・社会保険料控除
・小規模企業共済掛金控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・寄付金控除

などがあります。iDeCoを活用したうえで生命保険料控除(生命保険・医療保険・年金保険)や、医療費控除などを活用するという手もありますね。なお、ふるさと納税(寄付金控除)については住民税分は税額控除となるので、ふるさと納税をいくらやっても保育料や児童手当の所得税源の回避にはなりません……。

出口でiDeCoは課税されるけど、それも優遇されている

iDeCoの場合、受取時にはそれが「所得」になるので出口では課税されるのですが、現状では退職所得となります(一時金として受け取る場合)。

退職所得は税制上優遇されており、iDeCoの場合、加入期間=勤続年数として扱われます。上記の20年であれば、40万円×20年=800万円が控除されます。さらに控除した金額の1/2が退職所得の金額なので、所得額は726,887円となります。

仮にこれに15%の所得税・住民税が課税されたとしても税額は10万円ちょっとくらいになるわけで、優位性は覆りません。

例外となるのは数千万単位で勤務先から退職金をもらうような人でしょうか。所得額が大きくなると税率も高くなってしまいます……。そういう場合は一時金ではなく、年金形式で受け取ることもできます。

運用できる期間が短い人は実は定期預金でもよかったり

運用する期間が短くてリスク資産に全振りするのはちょっと怖いという人は「所得控除」分だけをとるというのも手です。

例えば所得税と住民税(所得割)で合計30%の税率がかかっているとします。この人がiDeCoに年276,000円(月2.3万円)の掛け金を支払うと、実質的82,800円分の税金(所得税+住民税)が安くなります。iDeCoの運用にかかる手数料は2052円(国民年金基金連合会に1260円、事務委託先金融機関に792円)を引いても約8万円の節税効果があります。

仮に50歳~60歳までの10年間で利用したとすれば平均運用金額は151.8万円(合計積立額÷10)なので節税による実質的な利回りは5%ちょっとになります。

現在の金利水準を考えると悪くはないですよね。

【iDeCoのリスク】将来退職所得扱いじゃなくなるかも?特別法人税が再開されたら?

iDeCoのような税制上の制度はルールが変わることがります。

自分が受け取るときに、退職所得扱いにならないかもしれない。1999年から凍結されている年金に対する資産税(特別法人税)が再開されたら利回りが大きくダウンする……なんて話もありますね。

このあたりは、確かにリスク要因ではあるものの、気にしていたら正直ほかの運用も含めて何もできなくなります……。

 

iDeCoを始めるにあたって基本として知っておくべきこと

  • 拠出可能額は人によって違う
  • 原則として60歳まで出金不可
  • 毎月手数料がかかる
  • メリットが大きいのは高所得者
  • 意外とメリットがある定年前の加入
  • ちょっとだけ始めるまで面倒

拠出可能額は人によって違う

  • 自営業者(第1号被保険者):68,000円
  • サラリーマン(企業年金なし):23,000円
  • サラリーマン(企業型DC利用):20,000円
  • サラリーマン・公務員(確定給付年金):12,000円
  • 主婦など(第3号被保険者):23,000円

※最低額は5000円。

このように拠出できる金額は人によって異なります。当然たくさん拠出する方が有利です。自営業が大きいのはサラリーマン(第2号被保険者)は厚生年金があるためですね。

原則として60歳まで出金不可、積立は65歳まで可能に

iDeCoの最大のデメリットは原則として60歳までは出金不可ということです。

資金が完全に固定化されてしまうので、何らかの理由でお金が必要な時にでもそのお金を使うことはできません。この固定化が最も大きなリスクです。

そのため、iDeCoはそれだけの資金的な余力がある人向けです。万が一の際に必要なお金が準備できている人がiDeCoを利用するべきです。まだ十分ではないというのであれば「つみたてNISA」のような制度を利用するべきです。

※つみたてNISAは運用益非課税。掛け金の優遇はありませんが、運用を途中で辞めることも出金することもできます。

参考:つみたてNISAとiDeCo(イデコ)の違いを徹底比較!あなたはどっちを選ぶ?

なお、iDeCoは途中で運用をやめること(掛け金を停止すること)は可能です。

毎月手数料がかかる

iDeCoの大きなデメリットの一つがこの手数料ですね。

  • 国民年金基金連合会手数料(共通):105円(年1,260円)
  • 事務委託金融機関手数料(共通):66円(年792円)
  • 運営管理機関手数料(金融機関で異なる):無料~数百円程度

という金額がかかります。

なお、iDeCoを月払いではなく年払いとすることで国民年金基金連合会手数料分は11か月分を節約可能です(手続きが必要だけど)。

金額としてはそこまで大きくはないのですが、積立初期は金額が少ない分、この手数料の割合が大きくなります。

メリットが大きいのは高所得者、逆に無所得ならiDeCo利用のメリットは小さい

iDeCoのメリットが特に大きいのは「所得税率が高い人」です。
日本の所得税は所得がおおきくなると税率も高くなっていきます。

  • 5%(~194.9万円)
  • 10%(194.9万円~329.9万円)
  • 20%(329.9万円~694.9万円)
  • 23%(694.9万円~899.9万円)
  • 33%(899.9万円~1799.9万円)
  • 40%(1799.9万~3999.9万円)
  • 45%(4000万円~)

こんな感じです。

それぞれの所得帯を超えたところでそれぞれの税率がかかる感じです。
iDeCoに加入すると税率10%の人は5万円の掛け金で節税されるのは5000円ですけど、税率が40%の人なら5万円の掛け金で節税できるのは20000円となります。この差は大きいですよね。

つまり、税率が高い人(高所得者)であるほどiDeCoを利用することによる税メリットは大きくなるわけです。ふるさと納税と同じ構図ですね。

言い換えてしまうと、専業主婦(夫)や扶養範囲内で働くパートさんなどの場合はiDeCoに入ってもこうした所得控除の恩恵を受けられません。税金がゼロなら控除もゼロです。

というわけで、主婦もiDeCoには入ることができますけど、あえてiDeCoに入るよりも自由度の高い、NISA/つみたてNISAを利用する方がよいでしょう。

意外とメリットがある定年前の加入

もう一つ。iDeCoへの加入は若い人(運用期間が長い人)向けと思っている方もいるかもしれませんが、必ずしもそうではないです。50歳代くらいの運用期間が短い人も実は使えます。

それは前述の所得控除があるからです。

一般的に年齢が高い方が所得も大きいでしょうから所得控除の影響は大きいです。運用益がゼロであっても、「給与所得」を数年我慢することで税制上有利な「退職所得」に振替が可能なわけですから使わない手はありません。

極論、定期預金で運用だって税効果を考えると大きなメリットがあります。

ちょっとだけ始めるまで面倒

いや、やったほうがいいってことは知っているんだけどね。でも、明日やろうかな……。という明日やろう勢の皆様を躊躇させるのが、始めるまでの面倒くささです。

最近は銀行も証券会社も基本的にはオンラインで口座開設が完結します。免許証やマイナンバー(個人番号)もスマホカメラでパシャっとやれば認証できちゃいます。

でもiDeCoの場合はそうもいきません。年金と紐づいていることもあってか、書類のやり取りがあります。さらに、第2号被保険者(サラリーマンなど)の場合は事業主証明※まで必要だったりします。

※2022年秋をメドに提出を不要とする方針

そんなわけで始めるまでがちょっと面倒なんてです。とはいえ、積立運用ですから、あとは放置できます。大変なのは最初だけ。税金の申告もサラリーマンなら年末調整で対応可能なので生命保険と同じです。

 

iDeCoを始めるにあたっての金融機関選びのコツ

金融機関の選択において重要な点は以下の3点です。

  1. 運営管理機関手数料が無料である
  2. 扱っている商品(投資信託)が低コストなものになっている
  3. 60歳以降の受取時の扱い

大切なのは(1)と(2)です。(1)はすごく比較しやすいですが(2)に関しては取扱商品を精査しないといけないのでちょっと大変です。とはいえ、(1)が高いところは(2)も高い場合がほとんどなのですけどね……

運営管理機関手数料が無料であることは必須

まず、手数料はゼロが基本です。有料のところはやめておきましょう。
地銀系などに多いのですがこのコストがやたら高いところもあったりします。

たとえば、山口銀行では運営管理機関手数料が月額440円発生します。ちょっとお高いですよね……。これ20年だと10万円超の手数料になります。

取り扱いファンドも高い手数料のものしかないところもある

次に取り扱いのファンドの数と質です。

質というのは運用のうまさとかじゃなくて手数料(信託報酬)が安いファンドということになります。

最近のインデックスファンドはかなり手数料が下がってきていますが、銀行の中には古くてやたら手数料の高いファンドしかラインナップがないところもあります。iDeCoで取り扱えるファンドは実は金融機関ごとに35本が上限となっており、それ以上のラインアップはできなくなっています。

なので、iDeCoの場合、その金融機関がどの投資信託を扱っているのか?も大切になります。

たとえば、同じMSCIコクサイ(日本を除く先進国株式)に投資ができるインデックスファンドであっても金融機関によって以下のように違いがあったりします。

・ダイワ投信倶楽部外国株式インデックス (山口銀行・2000年設定)
信託報酬(実質):1.045%

・eMAXIS Slim先進国株式インデックス (マネックス証券・2017年設定)
信託報酬(実質):0.1023%

と10倍近いコスト差のファンドを扱っていたりします。

これが何十年もの差になるとかなりの差になることはお分かりですよね。仮にMSCIコクサイのリターンが年率5%の場合、前者の「ダイワ投信倶楽部外国株式インデックス」の場合は1%以上リターンが落ちる計算になります。

仮に、毎月23000円を拠出したとして、「ダイワ投信倶楽部外国株式インデックス」と「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」で20年運用(リターンは年率5%成長)したとした結果は以下のようになります。

  • ダイワ投信倶楽部外国株式インデックス:8,393,290円
  • eMAXIS Slim先進国株式インデックス:9,342,913円

100万近い差になっちゃいますね。この100万の差って取ったリスクの差ではなくて単に手数料の差による部分ですから浮かばれません……。

受取方法は、退職金が大きそうな人は気にしておいた方がいいかもしれない

最後の受取方法について、iDeCoは満期時に一時金として受け取るか年金として受け取るかの選択ができます。また、併給(一時金と年金を振り分ける)こともできます。この辺の扱い気になるところです。

基本的に、iDeCoは一時金で受け取るのがベストなのでしょうが、勤務先の退職金が大きい人などは、そうするよりも年金方式にしたり、一部を一時金として残りを年金とする方が税金やコストを下げられる場合があります。

退職金がまとまって出るような会社にお勤めの方は、この辺も気にしておくとよいかもしれません。そうでなくても選択肢は広い方がよいでしょうし。

ちなみに、退職金の受け取り時期が65歳以降にできる人は、60歳でiDeCoを退職金控除を利用して受取り、65歳以降に勤務先の退職金を受け取るようにすると両方の退職金控除を満額利用できます。逆はダメ。

 

基本は主要ネット証券で選べば問題なし

長々と説明してきましたが、金融機関選びについては現状、主要なネット証券の中から選択しておけば特に問題なかったりします。地雷の金融機関を避けさえすれば正直大差がない感じになります(笑)

楽天証券、SBI証券あたりから選んでおけば外しません。いずれも年金の併給が可能です。

>>楽天証券

>>SBI証券

詳しい証券会社の比較やお勧めするポイントについては以下の記事も併せてご覧ください。

dp-invest.hateblo.jp