株主優待は企業が自社株主向けに提供している特典です。
- 自社商品
- 自社で使える商品券・割引券
- クオカードなどの金券
- カタログギフト
といったようにいろいろな優待があります。株主優待を提供する企業数は1521社もあり、全上場企業の37%に至っています(2019年5月時点)。
株主優待は日本企業独自の制度といわれていますが、個人投資家にとっては優待投資は利回りを大きく高めることができます。
実際に、株式投資をする目的の一つとして「株主優待をもらうこと」を挙げる方も少なくありません。もちろん私もやっています。
今回は投資の基本コンテンツとして株主優待を目的に投資を始める方法を紹介していきます。
株主優待の基本!株主優待投資のメリット
企業が株主に対する利益還元の手段としては「配当(配当金)」が一般的ですが、株主優待は配当とは別に、株を持ってくれている株主に対するお礼としての意味合いが強い制度です。
個人投資家とも相性が良いので、上手く活用していきましょう。
小額投資家にも向いた設計になっていることが多い
配当金は株数に比例する形で分配されますが、株主優待は株主であることに対するお礼的な意味合いが強いため、少数の株を保有している投資家への配分が手厚かったりします。
たとえば、優待銘柄として人気の「吉野家ホールディングス」の場合を見てみましょう。
- 100株:3,000円相当の食事券(1株30円)
- 1000株:6,000円相当の食事券(1株6円)
- 2000株:12,000円相当の食事券(1株6円)
となっており、もっとも効率的な保有株数は100株となるわけですね。
そのため、投資金額が少ない個人投資家にとって有利に運用することができるわけです。お得ができるように上手に制度を活用していきましょう。
どんな株主優待がある?
- 自社商品の詰め合わせなど(食品・飲料系)
- 乗車券の割引券(航空会社、JR、私鉄)
- 食事券(外食系の企業に多い)
- 商品券・クーポン・割引券(百貨店・電気店・小売)
- お米券やクオカードなどの金券
- カタログギフト
こんな感じで色々な優待があります。
利回りが高い株主優待も多い
株主優待の中には非常にバリューが高い優待を提供している会社もあります。
利回りに換算すると5%、10%といったよいうに高い還元をしている企業もたくさんあります。
うまく利用できれば、かなり得をすることができるというのも株主優待投資の大きなメリットです。
10万円以下の小額の資金からでも始められる
多くの株主優待は個人投資家を対象にしています。そのため、最低限の投資(100株保有)で対象となる銘柄が大多数です。
数万円単位でも優待を取得できる企業も多く、資金が小さな投資であっても優待投資をスタートさせることができます。
株主優待投資を始めるための準備
株主優待を受け取るためには証券会社の口座が必要になります。証券会社はどちらでもかまいません。
いわゆるネット証券の方が手数料も安く、個人投資家向けのサービスが多いのでおすすめです。また、証券会社に口座を作れば大抵の証券会社は企業ごとの株主優待のデータベース情報を提供しています。
- SBI証券
- 楽天証券
- マネックス証券
あたりを選んでおけば間違いないと思います。
SBI証券やマネックス証券については1株単位株式投資(単元未満株取引)もできるので後述する端株優待との相性も良いです。
また、個人的にはSMBC日興証券もお勧めです。dポイントを使って株を100円単位から買付していけるので無理なく少しずつ株を購入してくことができます。
ポイ活やキャンペーン等で貯めたポイントをつかって株主優待投資ができますね。
株主優待投資の始め方と注意点
具体的に株主優待を目的として投資を始めるときの注意点をまとめていきます。
どのタイミングで株主優待がもらえるの?
株主優待をもらうにはその会社の株を購入して「権利確定日」の時点で株主である必要があります。この権利確定日は企業によって違いますが、一般的には決算月の月末であることが多いです。
そのタイミングで株主であれば優待がもらえるわけです。
また、タイミングについては株の売買による受け渡し日(名義書き換えまでの日数)も考慮する必要があります。この受け渡し日を考慮して、その日までに株を買えば優待の権利が取得できる日を「権利付き最終日」と呼びます。
月末を権利確定日としている企業が多いのですが、受け渡し日と曜日の関係上、いつまでに購入すればいいのかは、毎月変わってきます。この辺りは「配当金・株主優待の権利確定日カレンダー。いつ買えば、いつ受け取れるのか?」などを参考にしてみてください。
長期保有条件ってなに?
最近の株主優待に最近増えているのが「長期保有条件」です。
株主優待の権利は配当金と同様に「権利付き最終日」までに購入していれば、権利を得られるのが一般的です。ただし、近年増えているのが長期保有を前提とするような株主優待です。
こうした株主優待は、その日、1日だけの株主となっても優待はもらえません。仮に1年以上の継続保有が必要な優待銘柄の場合、権利確定日に株主であっても保有期間が条件を満たしていなければ優待がもらえません。
今後もこうした条件を付ける会社が増えるのは間違いなさそうです。
ただし、長期保有優待が増えるのは必ずしも悪いことではありません。長期で保有していればそれだけ優待内容がグレードアップする会社も少なくありません。
優待銘柄に投資をする際の改悪リスクにご注意
株主優待投資はほしい優待銘柄や優待利回り(株主優待の価値÷株価で計算する利回り)をもとに、あまり考えずに買うという戦略は間違いです。いくつかの注意点があります。
株主優待が充実した企業は優待価値の実質的な利回りが高い企業も多く、お得なことが多いのですが、株主優待は改悪リスクがあるということを忘れないようにしましょう。
特に、今のような経済環境だと優待を改悪する企業は増加すると考えられます。
株主優待という制度は株主総会を経ずに、会社の社内だけでルール変更などが自由にできます。そのため、常に改変(改悪)のリスクがあります。
あくまでも株主に対するプレゼント的な要素なので、業績が悪化すると真っ先に打ち切られる可能性が高いです。
特に、そういう会社は株主優待が株価を支えているケースも少なくなかったりします。優待の廃止・改悪によって個人投資家が一気に売りに走り優待が改悪されるだけでなく株価も大幅下落……なんてこともありえるわけです。
株主優待だけを目的に投資をする場合は特に注意しましょう。
株主優待でお得に投資するための一歩進んだ投資術
株主優待投資をさらにお得にするための投資術・テクニックをいくつか紹介していきたいと思います。
- 端株優待をもらう
- 単元未満株投資を通じて「長期保有条件」を満たす
- 優待クロスで株主優待だけを獲得する
端株優待をもらう
株式投資は初めてでまとまった金額の投資は怖い……という場合にお勧めなのが「端株優待」という優待株への投資です。通常株主優待は1単元(100株)以上の保有が前提となります。
ところが、一部の企業ではそれ未満の「単元未満株主」に対しても株主優待をくれる会社があります。私はそれを端株優待と呼んでいます。あまり数はありませんが、投資効率が抜群に高いケースも多いのでうまく活用しましょう。
端株優待なら1万円未満からの投資ができます。
端株優待(単元未満株投資)なら「SBI証券」や「マネックス証券」が買付手数料が無料なのでおすすめです。
単元未満株投資を通じて「長期保有条件」を満たす
さきほど、注意点のところでも挙げたのですが、株主優待には最近「長期保有条件」が付くことが多いです。半年以上といったものから長いものだと3年以上といったような条件がつく企業もあります。
また、保有期間が長くなると優待内容がグレードアップする企業も少なくないです。そういう会社への対策として「単元未満株で1株買っておく」というのは極めて有効だったりします。
また、優待目的で株を保有しているけど、どうしても一度売りたいという場合、普通に売却すると保有期間がリセットされてしまいますが、1株だけでも保有しておけばリセットされません。こうした場合にも役立ちます。端株優待とセットで活用できますね。
優待クロスで株主優待だけを獲得する
こちらのテクニックもよく知られている方法ですね。ただし、株の信用取引が絡む部分になりますので、初心者向けではありません。まずは普通に株の売買の基本を覚えた上で利用することをお勧めします。
優待クロス取引と呼ばれる投資をすることで、価格変動リスクを抑えた上で、売買手数料と信用取引コストだけで株主優待をゲットしちゃおうという投資方法です。
- 現物買い
- 信用売り
を同株数で組み合わせることにより株価変動のリスクがゼロになります。一方で現物買いにより株主優待の権利だけはちゃっかり獲得するという方法です。
「制度信用取引」を利用する方法と「一般信用取引」を利用する方法があります。
制度信用取引を利用する場合、仕組みは単純ですが、逆日歩リスクがあります。状況によっては超高額の逆日歩発生により大損するケースもあります。
一方の一般信用取引を利用する場合、逆日歩リスクはありません。
ただし、各証券会社の空売り用の在庫数に上限があることや、売建をするタイミングが早くなることが多く、その分資金拘束や金利負担が大きくなるというデメリットがあります。
制度信用の優待クロス、一般信用の優待クロスについては
ちなみにネット証券各社では、こうした一般信用のクロス売りを前提としたサービスを実施していたりします。
おすすめの証券会社としては
・SMBC日興証券
・SBI証券
が挙げられます。それぞれ一般信用で空売りが可能で銘柄数も多めです。