
長らく生命保険の予定利率は超低金利下において引き下げが続いていました。
予定利率とは、生命保険会社が契約者から預かった保険料を運用する際に約束する利回りのことです。この利率が高いほど、将来の保険金や給付金を支払うための原資を効率的に準備できるため、結果として月々の保険料は安くなります。
保険を契約する我々一般人にとって予定利率の引き上げは基本的に歓迎すべきことです。また、これまでの超低金利下で契約をしてきた人にとては見直しのチャンスともいえます。
予定利率の引き上げによって我々は保険(生命保険や年金保険)とどのように向き合い、またどのように対応するべきなのかについて紹介します。
生命保険の予定利率の引き上げに関する直近のニュース
生命保険会社が顧客に対して約束している予定利率はバブル崩壊以降ずっと引き下げが続いてきました。予定利率は個別の保険会社が定めている利回りですが、その参考数字でもある金融庁が定めている責任準備金の利率(標準利率)は制度開始以降、以下のように年々引き下げられてきました。
- 導入当初(1996年):2.75%
- 2001年:1.50%
- 2013年:1.00%
- 2017年:0.25%
この引き下げに伴い、生命保険の予定利回りも一貫して下落してきました。
ところが、この流れが変わりつつあります。普通預金金利比較の記事でも書きましたが、ゼロ金利、マイナス金利の世界から「金利のある世界」に我が国の金融も変わりつつあります。
2026年4月にはこの標準利率が引き上げとなる公算が高まっています。
それに関連してですが、民間の生命保険でも予定利率の引き上げが進んでいます。
- 日本生命: 2025年1月から、月払いの年金保険や終身保険など貯蓄性商品の予定利率を引き上げ。
- 住友生命: 2025年7月1日から、円建ての一時払い終身保険の予定利率を1.30%から1.75%に引き上げ。
- 明治安田生命: 2025年7月1日から、利率変動型個人年金保険「明治安田の長期運用年金」の予定利率を改定
予定利率は我々が加入する生命保険に大きな影響を与えるものですので、状況を把握して保険の加入や切り替え、見直しに活用していきましょう。
予定利率が上がるとどうなる?
予定利率が上がると、貯蓄性の高い保険(終身保険、養老保険、学資保険、年金保険)などの保険の保険料が下がります。これは払った保険料で運用される部分の利回りが上昇することにより、より少ない原資でより多い満期保険金を支払うことができるようになるためです。
これは保険の検討をしている人にとってはとても有利なお話になりますね。予定利率上昇、歓迎です。
たとえば、すごくザックリとした試算ですが、予定利率が0.5%上昇した場合、終身保険や学資保険の保険料と満期時の保険金や返戻率は以下のようになります。
保険料:月額11,500円
60歳時点の解約返礼率:90%
予定利率:1.5%の場合(同上)
保険料:月額10,000円
60歳時点の解約返礼率:100%
予定利率:1.0%の場合(学資保険:満期時200万円受取/18年払込)
保険料総額:190万円
返戻率:約105%
予定利率:1.5%の場合(同上)
保険料総額:175万円
返戻率:約114%
※上記はざっくり試算です。特約等によっても大きく変わりますのであくまでも目安の一つとしてみてください。でもたった0.5%の差でも支払う保険料や返戻率などが大きく変わってくるということがわかると思います。
ただし、既存の保険契約は契約時の利率が適用される
その一方で、すでに契約済みの保険契約については契約時の予定利率が適用されたままになります。利率が上がっても既契約は旧利率のままとなります。
※更新タイプの保険の場合は更新時に新利率となります。
特に貯蓄性の高い保険の場合、今後も払っていく保険料が低い利率でしか運用されないというのは機会損失感を半端なく感じると思います。
※日本の金利はずっと低下傾向を示していたため、予定利率の高い古い保険を”お宝保険”としてありがたがってきた傾向もありました。今後逆に金利上昇局面になると既存契約が残念保険になってしまう可能性があるわけですね。
じゃあ、既存契約者はどうするべきでしょうか?
- 転換・乗り換えをして旧契約から新契約に移す
- 払済(払込停止)にした上で利率の高い新契約を作る
- 保障の減額をして既存契約の保険料を下げる
このような形で旧契約を小さくする、あるいは乗り換えをするという話が有効に見えます。ただし、保険の乗り換えはスマホのMNPのように簡単にはいきません。
保険契約は定められた途中解約をすると期間に応じた解約控除や手数料の関係で損をする可能性があります。
解約返礼率というものがあり、これは払ってきた保険料の総額に対して何%戻ってくるか?というものです。これが100%を超えていれば払った保険料>戻ってくる保険料となりますが、保険に加入したばかりなどではこれが70%とか80%とかになっているものもあります。
特に低解約返戻型保険などは所定期間外の途中解約時に大損するタイプになっているので注意してください。
既存契約分の見直しについては新旧の契約内容や加入年数、保険の種類によって大きく異なりますので、この辺りが気になる人はそうした保険の見直しサービスを活用してみることをオススメいたします。