サラリーマンのまま副業を続ける、個人事業主になるメリットと独立の注意点

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著者:しょうこちゃん

サラリーマン、会社員をやりながら、副業で収入を得るというのは実はかなりコスパが良いという話です。

会社員としての収入のプラスαのために副業をしようかなぁと考えている人はもちろん、現時点で副業収入がある程度ある人で、会社員やめて独立しようかなぁなんて考えている人も実はこの副業状態を維持するほうがメリットが大きいケースもあります。

今の仕事を「副業」として続けるメリット

  • 定期的な収入があるから副業でリスクが取れる
  • 健康保険が安くつく
  • サラリーマンの方が圧倒的な信用力がある

この3点が挙げられます。

 

定期的な収入があるから副業で多少のリスクが取れる

投資でも分散投資が重要視されるように、今のようにサラリーマンをやりながら副業で稼げているという状態はインカム収入をリスク分散出来ているということになります。

副業の場合、稼いでいる内容にもよりますが状況一つで収入がひっくり返るリスクも大いに存在します。しかし、安定的なサラリー収入があるため、収入額が不安定であったり、リスクのある副業を行うことができる心理的安全性を確保することができます。

また、サラリーマン(会社員)というのは結構制度的にも恵まれており、ライフプランニングや万が一の病気やケガにおいても収入面の安定性があります。

  • 育休制度
  • 傷病手当金制度

子どもが生まれたら育児休暇が取得でき収入の5~7割保証(&社会保険料免除)がありますし、病気やケガで働けなくなった場合には傷病手当金により収入の約66%が補償されます。

自営業者の場合はこういう制度はないので自前で何とかする必要があります。

 

サラリーマン+副業は副業収入分の健康保険(社会保険料)が安くつく

これはカネの話になります。

ただ、この社会保険料という面は実は会社員+副業はかなり有利です。

サラリーマンが加入する健康保険(協会けんぽ、健康保険組合)は原則として4月~6月の会社員としての収入で決まる「標準報酬月額」によって健康保険料が決まります。一方で自営業者などが加入する国民健康保険は所得額に応じて健康保険料が決まります。

会社員が副業として稼いだ場合、この金額は健康保険料の算定基準となりません。これは実はかなり大きいです。

健康保険料は東京都(協会けんぽ)の場合、介護保険第2号被保険者(40歳以上)の場合11.64%でそれ未満の方で9.84%となります。この保険料は労使折半なので、自己負担分はこの半分です。4.92%~5.82%ということですね。

なお社会保険料(健康保険料)は税金のように所得控除はなく、通勤交通費すら収入扱いされるため、実質的な負担感は税金(所得税や住民税)よりはるかに大きいです。

ここからいえることは、

  1. 会社員として収入を増やすより副業収入を増やすほうが手取りは増える
  2. 独立して副業を本業とした場合、同程度の収入になると負担が増える

会社員として収入を増やすより副業収入を増やすほうが手取りは増える

たとえば、現在年収500万円の人が、サラリーマンの年収を200万円増やした場合と、同じく年収500万円の人が副業で年収を200万円増やした場合、前者の場合は健康保険料もアップしますが、後者の場合は健康保険料は上がりません。

そのため、本業を頑張りまくるよりは副業として頑張っていくほうが実は手取り収入は増やしやすいのです。

ざっくり社会保険料は収入の30%です。労使折半によって労働者負担は15%になります。社会保険料は年収からダイレクトに引かれるので年収が200万増えたら、社会保険料負担は約30万円増えます。

この差は結構大きいですよね。もっとも、支払った社会保険料は「社会保険料等控除」として所得税や住民税の控除対象にはなります。ただ所得税+住民税率が20%だとすれば30万円の支払いで減らせる税金は6万円程度です。

※もちろん、将来的に出世したいんだ!!という人は本業を頑張って昇進するほうが生涯にわたる収入は高くなる可能性はあるので、それはそれで考慮する必要があります。

 

独立して副業を本業とした場合、同程度の収入でも社会保険料の負担は増える

副業を本業とした場合、個人事業主となるため会社員としての社会保険からは外れて自身で国民健康保険料と国民年金保険料を支払う必要があります。

社会保険(健康保険+厚生年金)の場合、実は保険料の半額は労使折半といって会社も支払ってくれていました。一方で個人事業主となるとこれらは全額自己負担となります。仮に会社員をやめて副業を本業とすることで、副業収入をサラリーマン時代と同程度まで増やせたとしても、負担しなければならない社会保険料負担が増大します。

国民健康保険(税)は前年所得に応じて決まりますが、そこそこ稼いでいる人は結構びっくりする金額の請求が来ることになります……。

※年金保険料は国民年金の場合、一律で会社員時代の厚生年金保険料より下がることもありますが、厚生年金保険料は年金の上乗せを行っているため、老後に受け取ることができる年金額に差がでます。
会社員と同程度の老後の対策をするのであればiDeCoや国民年金基金などの+αの活用をちゃんとやっておく必要があります。

 

サラリーマンの方が圧倒的な信用力がある

この信用力というのは人間的という意味ではなく、取引上、金融上の信用力です。脱サラして副業を本業として稼いだ場合、たとえ独立後に収入自体は増えても、多くのケースで住宅ローンなどを組む際はサラリーマン時代よりも不利になるでしょう。

クレジットカードなどの金融サービスについても同様です。

これは金融機関は信用評価の際、収入の多寡だけでなく、収入の安定性を高く評価するためです。公務員はローンが通りやすいのは原則として解雇がない(安定している)からですね。

サラリーマン時代なら普通にできたことも、個人事業主にジョブチェンジすることでできなくなることも少なくありません。

  • 賃貸住宅を借りる
  • 住宅ローンを組む
  • クレジットカードを作る
  • 後払い系のサービスを使う

これらは与信行為となります。サラリーマンを辞めて個人事業主一本になるとクレジットカード一枚作るのも結構大変だったりします。

 

サラリーマン+副業は強い

結論としては、サラリーマンという立場はセーフティーネットとして優れています。

サラリーマンをしながら副業をして稼げるようになると副業を本業に……と考えてしまいたくなる気持ちはよくわかりますが、早まらない方がよいです。

サラリーマンとしての収入と個人事業主としての収入は同じ金額でも安定性に差があることを考えると同じ金額で評価してはいけません。多くのケースで副業収入は諸事情により大幅に変動する可能性があるからです。

安定収入+副業収入というのは組み合わせとしてかなり強い形にあるといえるでしょう。

今お勤めの会社がブラックで副業の方が気楽だしいっそのこと独立でも……と考えているのであれば、副業を本業にするよりも転職をして副業を続けるという選択をまずは第一に考える方が良いかもしれません。

もっとも、

  • 副業を本業とすることではるかに高い収入をとれる見込みがある
  • 収入面だけでなく貯金(貯蓄)の面でもすでに十分な額を確保済みである

ということであれば、副業(個人事業主)一本に切り替えても良いかもしれませんけどね。