丸井グループは、2022年4月8日に国内企業として初のセキュリティトークン社債(デジタル債)を公募発行すると発表しました。エポスカード会員向けに発行され、金利の一部は金銭で残りはエポスポイントで支払うという特徴的なスキームとなっています。
一般に社債(債券)は証券会社が引き受けを行い、それらの証券会社が投資家に対して販売をする仕組みなっていますが、この債券は丸井自身が自社のホームページを通じて直接募集をするという形になっています。
暗号資産でも用いられているブロックチェーン技術を活用することで発行会社(今回は丸井)が利用者を把握でき、ポイントといった金銭以外での利払いができるという点が特徴となります。
第3回が2023年7月31日~抽選募集開始となります。
投資家サイドからのメリットとしてはポイント還元とエポスゴールド(プラチナ)ユーザー向けの特典である年間利用金額への合算が挙げられます。1年間の投資で0.3%分の利息に加えて0.7%相当のポイント還元。さらに、年間ボーナス分(100万につき1万ポイント)を含めると最大で年率2%相当の還元を受けることができるわけですね。
- エポスカード会員向け社債(デジタル債)
- 社債(デジタル債)の特徴と仕組み
- 丸井グループの“応援投資”~ソーシャルボンド~ エポスカード会員向け社債は投資する価値はある?
- エポスカードがない人は新規作成でもまだ間に合う
エポスカード会員向け社債(デジタル債)
エポスカードのデジタル債(社債)は以下のような理念で発行されています。
丸井グループは、『ビジネスを通じてあらゆる二項対立を乗り越える世界を創る』というビジョンを掲げており、
その実現の鍵となるのが、誰も置き去りにしない『インクルージョン』という考え方であると認識しています。そのなかで、途上国の低所得個人向け小口融資マイクロファイナンスを展開する五常・アンド・カンパニー(株)さまや、
貧困層支援や教育問題など社会的課題の解決に取り組む企業や領域に投資し、
経済的なリターンと社会的なリターンの両立を実現する投資手法を提供するクラウドクレジット(株)さまの理念に共感いたしました。両社との共創によりビジョン実現の確度が高まると期待しています。
さらに、私どものお客さまにも社会的インパクト投資への参画機会を共創し、互いの成長を加速したいと考えております。
そこで今回、丸井グループは「個人投資家向け社債」「エポスカード会員向け社債」を発行することとなりました。みなさまからお預かりした資金は「五常・アンド・カンパニー」「クラウドクレジット」の2社を通じて、世界の社会貢献と成長に活用します。
というように、丸井グループを通じて個人投資家から資金を集め、これらの会社に投資をするというソーシャルボンドを発行します。
ちなみに、投資対象は「五常・アンド・カンパニーとクラウドクレジット(第1回)」と書かれていますが、実際に投資をする主体は丸井グループであり、その資金を社債(債券)を通じて確保するという形になっています。
私たち個人投資家は直接これらの会社に投資をするわけではありません。社債ですので発行体である丸井グループに万が一のことがあれば投資した資金の一部(または全部)が戻らないリスクがあります。ただし、同社の信用格付けはA-(R&I格付け投資情報センター)であり、本社債の運用期間(1年)で債務不履行となる可能性は低いと考えられます。
社債(デジタル債)の特徴と仕組み
デジタル債とは、ビットコインなどの暗号資産で利用されるブロックチェーン技術を活用した債券(デジタル債)という発行をとっています。ブロックチェーン技術を利用することによって社債原簿(必要な帳簿)の管理を行い、発行者による社債権者(投資家)の継続的な把握ができるようになります。
※デジタル債というと「デジタル・クーポン債(仕組債)」を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、全くの別物です。
今回は自己募集型による公募という形態をとっているようです。今回は丸井グループに加えて、野村證券およびSecuritize Japan社の協力により発行されるようです。
こういった仕組みができるようになると、企業の資金調達の幅も広がって面白そうですね。
第1回デジタル債の発行条件
- 発 行 総 額:1億円程度
- 利 率:年 1.00 パーセント(0.3%分を金銭、0.7%分をエポスポイント)
- 発 行 価 格:各社債の金額 100 円につき金 100 円
- 購入可能金額:1万円から 100 万円(1単位1万円)
- 抽選申込期間:2022 年4月 18 日から 2022 年5月 10 日
- 申 込 期 間:2022 年5月 13 日から 2022 年5月 16 日 15 時まで
- 払 込 日:2022 年6月 20 日
- 償 還 期 日:2023 年6月 20 日
投資対象は「五常・アンド・カンパニーとクラウドクレジット」
第2回デジタル債の発行条件
- 発 行 総 額:1億円程度
- 利 率:年 1.00 パーセント(0.3%分を金銭、0.7%分をエポスポイント)
- 発 行 価 格:各社債の金額 100 円につき金 100 円
- 購入可能金額:1万円から 100 万円(1単位1万円)
- 抽選申込期間:2022 年9月1日から 2022 年9月7日
- 抽選日:2022年9月9日以降(メール通知)
- 申込期間:2022年9月10日(土)~9月13日(火)15時
- 引落:2022年9月27日(火)または10月4日(火)
- 償還期日:2023年10月13日(金)
投資対象は「五常・アンド・カンパニーとクラウドクレジット」
第3回デジタル債の発行条件
- 発 行 総 額:2億円程度
- 利 率:年 1.00 パーセント(0.3%分を金銭、0.7%分をエポスポイント)
- 発 行 価 格:各社債の金額 100 円につき金 100 円
- 購入可能金額:1万円から 100 万円(1単位1万円)
- 抽選申込期間:2023/7/31(月)~2023/8/8(火)23:59
- 抽選日:2023/7/31(月)~2023/8/8(火)23:59
- 申込期間:2023/8/11(金)~2023/8/16(水)15時
- 引落:2023/8/28(月)または2023/9/4(月)
- 償還期日:2024/9/12
投資における注意点と特徴
特徴としては以下の通り。
- 原則として途中売却は不可
- 申し込み多数の場合は抽選となります
- 発行体は丸井グループとなります(信用格付:A-)
債券の利息が現金とエポスポイントで支払われます。ポイントで利息というのは非常に珍しく、こうした取り組みが上手くいくようなら今後もさら活発になりそうですね。
ちなみに利息に対する税金(20.315%)についてはポイント分も対象になるようです。
ただ、重要事項内に「日本の税 法上、本社債が普通社債と同様に取り扱われないこととなる場合には、本社債に対して投資した者に対する課税 上の取扱いが下記内容と異なる可能性があります。」と記載があるように、税務当局から違うで!という指摘が入ったら異なる可能性もあるということです。一応、頭に置いておきましょう。
購入手順
丸井への登録が必要になります。証券口座は不要のようです。
「申し込み専用サイト」においてまずは登録をします。社債代金の支払いや利払いを受ける銀行口座はエポスカードのものが利用されます(EPOS IDで連携)。
登録後に抽選に申し込み(2022/04/18 14:00 ~ 2022/05/10 23:59)、その後購入という形になります。
社債代金は同銀行口座から口座振替にって実施されます。エポスカードから直接決済されるわけではないのでご注意ください。
登録時にマイナンバー(個人番号)の登録は不要ですが、利払いを受ける際には登録が必要になるようです。
丸井グループの“応援投資”~ソーシャルボンド~ エポスカード会員向け社債は投資する価値はある?
1年満期で1%の利率は決して悪くないと思います。資金的に余裕がある人で安定運用を求める人には良いかもしれません。
中でも特におすすめなのは「エポスゴールド」「エポスプラチナ」のユーザーです。
エポスプラチナカード・エポスゴールドカード会員のかたは、社債購入分は年間ボーナスポイントサービスの年間ご利用金額の対象となります。
公式サイトより
と、あります。エポスゴールドカードでは、年間の決済金額に対してボーナスポイントが付与されるようになっています。
- 年間50万円決済:2500P(0.5%相当)
- 年間100万円決済:10000P(1%相当)
今回の社債はおひとり100万円まで購入可能です。仮に100万円を投資すればそれだけで1%分のボーナスポイントを獲得できるということになります。これに加えて同社債の利息1%(0.3%+0.7%)がもらえるわけですから実質リターンは2%ということになります。こうなるとかなりお得ですね。
エポスプラチナなら100万円購入で2万ポイント(2%)なので実質リターンは3%になります。
すでにエポスゴールドカード(プラチナカード)ユーザーで、エポスカードの積立投信(tsumiki証券×投信積立)をしている方であれば年間に最大60万円の投資をしていると思いますので100万円の年間ボーナスの不足分を埋めるという目的でやってみるのもいいかもしれませんね。
エポスの一般カードユーザーにとってメリットはある?
一般カードのユーザーの方はボーナスポイントがないので1%の利息相当という還元になります。もちろん、これも低くはありませんので投資する価値はあるでしょう。
また、ここからは可能性の問題ですが、本債券への投資がエポスゴールドカードのインビテーション(招待)につながる可能性もあります。
ただし、今回の案件は社債の買い付け代金がエポスカードで決済されるわけではないので、影響しない可能性はあります。とはいえ、エポスIDを連携しているので、私がエポス側の人間であればプラス評価はすると思います。
エポスカードがない人は新規作成でもまだ間に合う
本社債(デジタル債)はエポスカードユーザー限定にはなりますが、新しくエポスカードを申込してもギリギリ間に合います。
エポスカードは通常カードなら年会費永年無料です。
また、エポスカードを使用していると利用実績に応じてエポスゴールドカードへのインビテーション(招待)が行われ、招待されるとエポスゴールドカードに永年年会費無料でアップグレードできます(エポスゴールドに直入会の場合は年会費5,000円・税込)。
エポスゴールドカードへのインビテーション基準は明らかにされていませんが、特別な使い方をしなくても招待されます。急ぎたいのであれば前述したtsumiki証券を活用したクレジットカードでの投信積立を利用すれば早いと思います。私は積立を初めて半年程度でアップグレードできました。
エポス修行については以下の記事でまとめています。
エポスゴールドは今回の記事中でも紹介した年間ボーナスポイントだけでなく以下のような特典があります。
- 選べる3店舗のポイント還元3倍(1.5%還元)
- エポスポイントの有効期限がなくなる
- ゴールドカードならではの特典が付く(空港カードラウンジ無料、付帯保険充実 など)
といったメリットもあり、クレジットカードの中でもかなりお得な一枚です。ぜひカードを作っておきましょう。
なお、今回のデジタル債に申し込みをする場合、通常のカード作成だと間に合いません。急ぎで間に合わせたい場合は、「マルイの店舗受取」を選択しましょう。ネット申し込みから最短即日でカード受取が可能です。
エポスカード公式が行っている2000円分のポイントプレゼント、さらに招待コード「23102641760」を利用すると+500円分のポイントがもらえます。
年会費無料をカードをつくるだけでもらえるポイントなのでとっても美味しい案件だと思います。
本記事は私が調べて私が理解した内容となっています。また、本デジタル債への投資を推奨するものではありません。本債券に投資をする場合は募集要項や重要事項説明書などは各個人でちゃんと読み込んでくださいね。