ご存知の方も多いかもしれませんが、「立会外分売(たちあいがいぶんばい)」という株の買付方法があります。
これは大株主が株を市場外で売却するのに応募して株を買うことができるサービスです。この立会外分売に応募して株を買うという戦略は実は結構有効だったりします。
仕組としては「PO(公募株)」に似ていますが、それよりも短期間で結果が出るので分かりやすいです。今回はそんな立会外分売を利用した有利な投資テクニックを紹介していきます。
立会外分売とは?その活用メリット
ざっくりいうと、企業の株主が保有する株式を市場で売却せずに、証券会社を通じて市場外でまとめて小口売却する方法を立会外分売と言います。
通常の株の取り引きを「立会(たちあい)」と言いますので、その立ち合いの外で多くの投資家に分けて売られるので立会外分売というわけです。株主が証券会社に委託して実施されます。
で、なぜ立会外分売がおすすめなのかというと「ディスカウント(割引)」がされるからです。
立会外分売が実施される場合、実施日前日の終値から一定の割引きをした金額で投資家に売却されます(手数料無料)。そして実施日当日から売却することができます。
たとえば、3%割引された場合、翌日の株価が当日変わらなければディスカウント率分だけで儲かる計算になります。
このディスカウント&買付翌日にはすぐに売ることができるという点立会外分売に参加する大きなメリットとなります。
- ディスカウント価格で買える
- 翌日の始値で売ることができる
立会外分売が行われる理由
これは様々ですが大きく以下のような理由で実施されます。
- 株主数を増やしたい
- 株式の流動性を高めたい
- 株を売却して現金化したい
この3つですね。
①株主数を増やしたい
これは市場変更などを目指しているケースなどで実施されます。東証1部に上場するには一定以上の株主数が必要です。その条件を満たすために多くの投資家に株を小口で売却することで株主数を増やそうとするものです。
②株式の流動性を高めたい
証券取引所で売買される株式数が少ないと株を買いたいと思っても適正な株価で買えず、なかなか売買されにくい状態になったりします。立会外分売が浮動株を増やして流動性を高める目的で実施されることがあります。
③株を売却して現金化したい
大株主が自社の株式を売却して現金化したいケースで立会外分売を利用することもあります。市場で売却するには規模が大きく、自身の売り注文で株価を下げてしまうというような場合などに立会外分売を利用するケースがあります。
①や②の理由はポジティブ、③は場合によっては ネガティブに扱われることもあります。
立会外分売のリスクとデメリット
ディスカウント価格で買えることが立会外分売の大きなメリットとして紹介しましたが、リスクやデメリットはないのでしょうか?
あります。
当たり前ですが、翌日の株価が取得価格よりも安くなれば損をすることになりますね。たとえば2%ディスカウントされたとしても翌日に2%以上下がってしまえばどうしようもありません。
立会外分売が行われると、翌日には同じように分売で儲けようという人が売りに出します。そのため、一般的に言えば翌日の始値は下げやすいです。
下げ幅>ディスカウント率となると損をするわけですね。ただし、過去の統計として立会外分売での勝率は8割程度あります。
そんなこともあって、立会外分売は投資家から人気があります。IPO(新規公開株)ほどではありませんが、多くは抽選となります。
ただし、IPOほど当たらないということはありません。また、抽選結果もすぐわかるので、複数の証券会社で経由でポチポチ申し込みする感じにすればずっと当たらないという事もないでしょう。
立会外分売で投資をするテクニック
- 勝率をより高める
- 複数の証券会社で申し込みをして当選確率、株数を高める
この二つです。
勝率がより高い立会外分売銘柄を買う
勝率がいくら高いとは言え、下がる銘柄もあります。
勝率を高めるには分売銘柄の見極めが重要になります。私が概ね見ている点は以下の項目です。
- 貸借銘柄であること(空売りできる)
- 注文上限枚数(申し込み可能枚数)が少ない
- 売り出し枚数が日々の出来高と比べて過大でない
- 株主優待制度がある
とりあえず、この4点を重視しています。全部満たしている必要はないですが、当てはまるほどいい感じです。
また、当日の地合いも考えます。
立会外分売の価格(ディスカウント後価格)は東証終値がベースです。
その後の欧州市場、NY市場で相場が大きくプラスとなったような場合は分売銘柄に対しても買い圧力がかかります。分売価格決定日の夜間市場は注目です。逆に、NY市場が崩れたような場合は売り圧力が強くなります。
この辺はdポイント投資と同じように後出しができる部分ですね。立会外分売への参加についてはNY市場の引け後(日本時間早朝)で構いません。
朝のdポイント投資の結果チェックを兼ねて分売への参加を決めるもの一つかもしれません。
複数の証券会社で申し込みをして当選確率、株数を高める
もう一つは変える確率を高めること。立会外分売は売主が証券会社に依頼する形で実施されます。ただ、受付は各証券会社で行っています。
そのため1社で申し込みをするよりも複数社で申し込みをするほうが単純に抽選口数が増えるので有利です。
なお、申込は価格決定日の夕方17時15分ごろ~翌朝までとなっております。
価格発表すぐに申込してもよいのですが、当日のNY市場の動向まで含めて判断するなら朝方になりますね。そうなると時間はかなりタイトなので申し込み忘れにご注意ください。
- SBI証券(当日8時20分までOK)
- マネックス証券(当日8時20分までOK)
- 楽天証券(当日8時20分までOK)
- 松井証券(当日8時30分まで申し込みOK)
こんな感じになっています。中でもSBI証券、マネックス証券、楽天証券の主要証券は立会外分売以外でも活用できる証券会社なので口座を作っておいて損はないと思います。
ライブスター証券や松井証券については締切時間が遅めなので、ギリギリまで気配を見ることができるという点が魅力です。
申し込み後は9時前(だいたい当選分が8時50分ごろに反映されるところが多い)に当落チェックをして、売却するなら売却注文を出しましょう。もちろん、保有し続けるという選択肢もありです。
運試し的な側面もある立会外分売銘柄への投資ですが、通常の投資よりは割引や後出しができる分立会外分売は有利です。上手に活用していきましょう。